『円頓寺七夕まつり』を訪ねる/その3

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伊蔵は一通り『円頓寺商店街』を回ってからまた来た商店街をゆっくりと回ってみる事に。先にも書いたが実に様々な『ハリボテ』がアーケードに吊るされていて面白い。題材は自由みたいだがどれもこれも凝った作りで感心する。
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これは『黄門様と助さん格さん』。表情や動きなどの捉え方が上手く表現されていてとても素人が作ったものには見え無い。
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みんな何人かで協力して作っている様で『ハリボテコンテスト』のようなものも行なわれているらしい。
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数ある『ハリボテ』の中で伊蔵が見て面白かったのがこの『ウルトラセブン』である。セブンの必殺技である“アイスラッガー”のポーズを象っているのだが、商店街を歩く人に見やすい様になのか随分前方に傾いた状態でアーケードに吊るされてしまっていて“アイスラッガー”というよりむしろ“クックロビン音頭を踊るウルトラセブン”のようにどうしても伊蔵の目には映ってしまい、こみあげる笑いを隠せなくなってしまうのだった(笑)まぁ真下でこのセブンを見上げればまともに見えるのだろう。離れた場所からたまたま見てしまった伊蔵が悪かった・・・。

『スマンカッタ!ウルトラセブン・・・』

上から伊蔵を睨むウルトラセブンの視線が“エメリウム光線”の様に痛かった・・。
<つづく>

『円頓寺七夕まつり』を訪ねる/その2

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円頓寺商店街界隈は狭い路地あり、古い街並ありと伊蔵の好きな風景が沢山ある。狭い路地等があると思わず足を踏み入れたくなってしまう。
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かなり古い土蔵なども残っている。しかしこういった建物も年々壊されて無人の有料駐車場に姿を変えてしまっている場所が多いのも事実だ。
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『円頓寺商店街』が『圓頓寺(えんどんじ)』の門前町として発展した事はすでにお話した。『長久山圓頓寺』は日蓮宗の寺で承応三年(1654年)普敬院日言上人によって創建され、享保9年(1724年)、現在の地に移った。
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本堂は本堂は名古屋城天守閣使用の余材を拝領して建立されたという。本堂脇に尾張藩祖徳川義直の側室「おこんの方」より贈られた鬼子母神像を安置している事から女性と子供の神様とされている。狭い敷地にありながらなかなか立派なお寺で、かえって門から中へ入る事が出来なかった・・・。大須観音のようにオープンな感じのお寺では無い感じがした。
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商店街には『圓頓寺』以外にも大小の神社仏閣が点在している。こちらは『金比羅神社(こんぴらじんじゃ)』。商店街の脇道に沿うとても細長い敷地に建つ神社だ。大国主命を主祭神として須佐之男命、加具土命と共に祀られている。元々名古屋城内三の丸に祀られていたが安政六年(1859年)にこの地に移された。
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こちらも狭い路地に参道が奥へと延びる『多賀宮(たがぐう)』近江の多賀大社より分祀したもので伊耶那岐命、伊耶那美命を祀る。延命と縁結びの神様といわれる。この境内には『おもかる石』という不思議な石があり、石を一度持ち上げてから願い事をして再度石を持ち上げた時、重さが変われば願いが叶うという。
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しかしこの『多賀宮』の佇まいが何ともいえない・・・。この狭い空間は一体なんなのだ。最初に『多賀宮』が建てられたのか周りの住宅が後から無理矢理建てられたのかどちらかよく分からない(笑)大きな地震でも起きたらかなりマズイのではないかと思われる。上の建物がストンと落ちれば『多賀宮』の参道は閉ざされてしまうだろう。まさに『テトリス的風景』といえる。しかしこういう下町的な雑多な風景が楽しい。<つづく>

『円頓寺七夕まつり』を訪ねる/その1

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土曜日、仕事が早く終わった伊蔵は会社の近くの商店街で7月25日〜29日まで開催されている『円頓寺七夕まつり』を見に行く為に歩いていた。東海地方も梅雨開け宣言が出されたのは良かったが、いきなりの猛暑・・・円頓寺商店街を目指して堀川沿いを歩いて南下する伊蔵の額には汗が吹き出していた。
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◆『円頓寺商店街(えんどうじしょうてんがい)』
堀川に架かる『五条橋』から西に延びる商店街で、名古屋市の中では「大須商店街」と並んで最も古い商店街である。元々名古屋城の築城の際に城下町として整備されたもの。『圓頓寺(えんどんじ)』の門前を中心に「円頓寺商店街」「円頓寺本町商店街」「西円頓寺商店街」の三つの商店街から成っている。名古屋駅の開業や駅周辺に工場が建てられた事に伴い、盛り場として栄え円頓寺商店街は『江川(えがわ/現在の江川線(当時は川が流れており市電も走っていた)』を越えて西へ西へと伸び発展していった。商店街には劇場や寄席まであり、昭和の初期まで『栄(さかえ)』『大須(おおす)』『円頓寺(えんどうじ)』は“名古屋三大繁華街”と呼ばれた。
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これが『円頓寺商店街』の東側の入口となる『五条橋』。橋の下は堀川が流れている。徳川家康が名古屋城築城の際、『清須越』といって清洲の町に住む人や建物等をそっくり名古屋城下に移した(慶長15年(1610年)。この橋は元々清洲城下に流れる五条川に架けられていたが前述の『清須越』の時にこの場所へ移されたものだという。今は昭和13年(1938)に架けられたコンクリート製の橋となっている。五条橋の袂には“どて”(牛のスジ肉の味噌煮の事)を食べさせてくれる『どて焼五條』がある。この店に伊蔵は以前に一度だけ足を踏み入れた事がある。かなり昔からここに店を構えているらしい。
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さぁいよいよ『円頓寺商店街』のアーケードの入口だ!最盛期の商店街の勢いは無くなってしまった円頓寺商店街だが、こうして七夕飾りで綺麗飾られたアーケード、まつりを見物する人々の多さを見るとまだまだ捨てたモノではないと思う。
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この『円頓寺商店街七夕まつり』では様々なキャラクターのハリボテがアーケードに吊るされる。商店街と地域の住民の“手作りのお祭り”的雰囲気が味わえる。どれも子供受けしそうなキャラクターが多い。これらハリボテの他にも様々なイベントが期間中に行なわれる。この日は何が行なわれているのだろうか。ゆっくり見て行く事にしよう。<つづく>

サッパリと蕎麦

久しぶりに友人Y氏と蕎麦を食べた。考えてみると彼とはかれこれ一年近く顔を合わせていない事を知り、あらためて月日の流れる速さを感じざるを得なかった。
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久しぶりに顔を合わせてみると彼の痩せ振りに驚いてしまった。毎日顔を突き合わせていると状況下では変化には案外気が付かないものだが、一年以上も会わないと変化が顕著に感じられるものらしい。彼と会う時はもっぱら近くの蕎麦屋『正盛』へと向かう。

この日、伊蔵はサッパリした物が食べたくて上の画像の『香辛おろし大根蕎麦』を注文した。これに『キリン一番搾り』をプラス。Y氏は『天重(海老天重箱)』を注文していた。一品物で『とろろ揚げ』『手羽先明太子』を頼んだ(これはこの店に来た時には必ず注文する品となっている)。

お互い会うのは久しぶりだったので何かと話が弾み、瞬く間に時間が経ってしまった。Y氏も話がしやすい伊蔵と会った事で気持ちが和んだようなので誘ったこちらとしても良かった。ただ最近人一倍健康に気を付ける様になったというY氏(痩せ振りを見て十分に分かったが)に言われた一言が伊蔵にはイタかった。

『伊蔵さん、タバコは辞めた方がいいよ・・・』

その通りです・・・(笑)


野菜不足の伊蔵に

先日ある方から『ゴーヤー』を頂いた。『ゴーヤー』とは苦瓜(にがうり)の事で沖縄料理でよく使われる野菜として有名である。最近野菜不足に悩む伊蔵の為に、家で『ゴーヤー』を家で栽培している方から伊蔵君の為にと頂いたのだ。
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よくゴーヤと発音するが正しくは『ゴーヤー』と語尾を伸ばすらしい。ウリ科の植物で原産地はインドといわれる。ここから世界中へと広がって行ったらしい。日本には中国の『明』時代(日本では室町時代)に伝わったとされている。和名でツルレイシ、ニガウリとも呼ばれる野菜だ。
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さてこの『ゴーヤー』を伊蔵は日曜日の晩に食べてみようと思い立った訳である。沖縄料理で有名な『ゴーヤーチャンプルー』を作ってみる事にした。比較的簡単に作れて『ゴーヤー』を美味しく食べられる料理だからだ。しばらく自炊していなかったので必要な材料を買出しにスーパーに出掛けてから伊蔵は料理に取り掛かった。
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まず『ゴーヤー』を包丁で縦に真っ二つにする。すると身の中には種と綿が詰まっている。これを綺麗に取り除く。これをしっかり処理しておかないと、苦味が残ってしまうらしい。
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綺麗に種と綿を摘出完了!!水洗いしてしばらく置く。
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『ゴーヤー』と一緒に炒める食材として伊蔵が選んだのは二ラ、キャベツ、モヤシ、ブナシメジ、豚バラ肉、魚肉ソーセージと野菜を中心に超盛り沢山の内容だ(笑)これらを予め処理して小皿に取り分けておき、後で炒める時にぶち込みやすくしておいた。
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先程、種と綿を摘出した『ゴーヤー』を包丁で薄くスライス。次に『ゴーヤー』の苦味を除去する為、塩をふりよく揉む。その後水洗いをして沸騰したお湯で軽く茹でる。こうする事で苦味を抑える事が出来るのだ。
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一通りの下準備が出来たら後は一気に炒める作業を残すのみだ!伊蔵は温めたフライパンにオリーブオイルを引き馴染ませてから、まず豚バラ肉と魚肉ソーセージをスライスしたものを投入した。
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軽く炒めたら塩コショウを振る。次に本当なら『ゴーヤー』を入れる所なのだが、他の野菜を大量に用意してしまった為、そちらを先に炒める事に(笑)
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二ラ、モヤシ、キャベツ、ブナシメジを次々に投入!少々ぶち込み過ぎか・・・と一瞬思ったが、ここはうろたえてはならない!ひたすら伊蔵は炒める作業に没頭した。しかも炒めながらデジカメ撮影までしなくてはならないので少しばかり大変なのだ(笑)そして主役の『ゴーヤー』を最後にぶち込む。
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山盛りに見えた野菜も炒めるとシンナリしてそれほど大量に見えなくなってきた。程よく全体が炒め上がった所で、醤油と砂糖を少々入れて味を調え最後に玉子を搦めてついに完成だ!
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『どぉ〜ですか!お客さん!!』伊蔵特製ゴーヤーチャンプルーの完成である。分量の事をよく考えなかった為か“大盛り”になってしまったが・・・。しかしなかなか美味しそうに出来た。
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買出しの時にビールを買い忘れた事を後悔する伊蔵であった・・・。絶対ビールに合うよなぁコレ。今日は十分以上に野菜摂取は万全であろう!頂きますっ!!

※お味の方は自分が言うのもなんですがとても美味しかったです。『ゴーヤー』も苦味が下ごしらえのお蔭で全くなかったし。簡単に作れるのでお酒のツマミには最高です!!

『拉麺』と『蹴球観戦』

週末の土曜日、伊蔵は仕事だった。この週末はかなり忙しく遅くなってしまった。外は相変わらずの雨模様だ。折角の週末、このまま帰るのは何だか遣る瀬ないのでハワイ帰りの『ばってんさん』のラーメン屋へ寄って行く事にした。

時間はもう午後九時近くなっていたが、ばってんさんのお店の赤い堤灯は元気に灯っていた。店内に入るとばってんさんとママさんが迎えてくれた。ママさんと顔を合わせるのは久しぶりの事だ。丁度店内のテレビでは『サッカーAFCアジアカップ2007』の準々決勝戦、日本×オーストラリアが放送されており、ばってんさんは少々興奮気味だった(笑)

伊蔵は『塩ラーメン温玉入り』と『鳥飯』、瓶ビール一本をばってんさんに注文した。ばってんさんのお店のお品書きの裏には色々な“小ネタ”が書かれていて思わず笑えて面白い。takeさんがハワイへと出掛ける前にばってんさんは入れ違いにハワイ旅行から帰って来ており、現地で仕入れて来た“小ネタ”がこの日のお品書きの裏に『更新』されていた(笑)現地のとある店で頂いたという「ココナッツジュース」の情報が書かれていた。

『その味は甘さの無いポカリスエットのよう』

と、ばってんさんの感想とココナッツジュースを飲むばってんさんの写真が!そしてばってんさん、『伊蔵さん、お品書きの裏、僕も更新しましたよ』と嬉しそうに言うのである(笑)とにかく愉快な人なのだ。実は今日の夕方に伊蔵の携帯にハワイ島にいるtakeさんから電話があった。彼は何も無い場所で少々退屈しているようだったが・・。その件についてばってんさん、ママさんと談笑した。やはり立ち寄ってみて良かった。

伊蔵はビールを飲みながらラーメンが来るのを待っていた。テレビで放映中のサッカーアジアカップの現在の状況についてばってんさんが説明してくれた。前半は日本、オーストラリアとも無得点のまま終了したが、後半24分オーストラリアが先制ゴール。そのわずか3分後に高原が見事なゴール!この後、1対1の同点のまま勝負がつかず現在試合は延長戦に入る所だという。

塩ラーメンと鳥飯を頂きながら延長戦を観戦する伊蔵と店内のお客さん、そしてばってんさん。日本選手はかなりいい動きをして攻めていたがここ一発というところで攻めきれない。日本代表監督“老将イビチャ・オシム監督”もイライラしていて、

『何やっとりゃ〜すか!!』

と言わんばかりに選手達に檄を飛ばしていた(笑)檄を飛ばしていたのは何もオシム監督だけではなく、ばってんさんと店内のお客さんも同じであった。テレビ放送も勿論放送時間枠を越えて延長だ!土曜ワイド劇場『温泉マル秘大作戦4/能登半島を巡る究極のズワイガニと伝統の技輪島塗の美に隠された連続殺人の謎』はこのサッカーの勝負の決着が着くまで放送をズラされる羽目になっていた(笑)

結局延長戦でも決着がつかず、勝負はPK戦へ。
『オレはPK戦は見ないぜ』が心情のオシム監督はその巨体をヨタヨタと揺らしながらロッカールームへと姿を消した。ばってんさんは、

『オシムは絶対ロッカールームに“マイテレビ”を用意して見てるって!』

“オシムマイテレビ所持説”を主張(笑)伊蔵もすっかりラーメンと鳥飯、ビールを飲み干してしまっていたがこの勝負が終わるまで帰れない状態になっていた。さて準決勝進出を賭けた運命のPK戦が始まった!ここで守護神GK川口が魅せてくれた。1本目と2本目を完全に見切ってボールを止めた時は感動した。ばってんさんはオーストラリアのGKシュワルツァーの背の高さを相当気にしていた。

『あいつは身長三メートル程あるからなぁ・・』

それはいくら何でも大げさだが、ばってんさん特有のギャグが面白かった。予想に反して巨人GKシュワルツァーの動きは悪く、PK戦が終わってみれば4−3で日本が見事勝利!!なかなか勝負が着かなかった試合ではあったが見応え十分だった。ばってんさんも伊蔵と同じく満足している感じだった。

ラーメンを頂きながらの『熱い観戦』、とてもいい週末の夜を過ごせました。ばってんさんありがとう!!

居酒屋で『鬼ころし』

先日の木曜日、ひょんな事から友人のアキラ氏と一緒に夕飯を食べる事になった。さてどこで食べようかと考えていたところJ地区にある居酒屋『たからや』さんへ向かう事に。平日だという事もあってただ単にラーメンでも食べに行こうという感じだったが、相変わらず続く雨天と蒸し暑い毎日にウンザリしていたアキラ氏と伊蔵は飲まない訳にはいかない状態であった。
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さてこの居酒屋『たからや』さん、J地区の大通り沿いにあるのだがアキラ氏も伊蔵も初めてのお店では無い。元々この店は現在建っている場所から数十メートル南の場所にあったのである。当時のお店に伊蔵はよく通っていた。カウンターと狭い座席があるだけのお店だったにも関らず、大概満席に近い状態で大変賑わっていた。メインは串物だが、その他の一品料理もバリエーションが多く一品一品の量が多く、なおかつ安い。マスターとママさん、それにバイト一人で切盛りをされていた。

そんな『たからや』さんが店の目の前の大通りの拡張に伴い立ち退かざるをえなくなり、現在の場所に移って早五年。アキラ氏も伊蔵も新しくなった『たからや』さんに出向くのは初めての事であった。前の店に比べてかなり小綺麗な店の構えになったのは知っては居たのだが・・・。以前の店は本当にトタンの壁に囲われた長屋に一画に過ぎなかった。

新しくなった『たからや』さんの店の前に立ったアキラ氏と伊蔵。店内から外部へと続くダクトからは串物を焼く際に発生する煙りが盛んに出ていた。この煙りの匂いはまさに“オヤジ好み”の香りである(笑)ガラリと店の扉を開けると右手にカウンターが手前から奥へと長く伸びていて結構人が座っており、アキラ氏と伊蔵はカウンターの最奥地の空いた席に座るしかなかった。カウンターの内側はこれまた細長い厨房になっていて懐かしいマスターやママさんの顔も見え、バイトで働く人も増えたようだ。ひょっとしたらマスターの娘さんかもしれない。マスターは昔より少々太ったように見えた(笑)
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しかし随分昔の店とは変わった事にアキラ氏も伊蔵も驚きを隠せなかった。二階へ上る階段もあったので二階にはお座敷もあるのだろう。この日も何かの宴会の予約が入っていたようだった。地下鉄駅が近い事もあって仕事帰りのサラリーマンや単身赴任のサラリーマン等がひっきりなしに『たからや』さんには訪れる。常連客も相当数いるだろう。

さてまずは『お疲れさん』の乾杯だ。ビールで乾杯の後、いくつか串物を注文した。串物もボリューム満点なので下手に本数を注文すると食べきれなくなってしまう。
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そんな中、伊蔵は『二ラ玉』を注文した。二ラにしろ玉子にしろ伊蔵の大好物であるし酒の肴としてこれほど単純で美味しい物はないであろう。
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一通り注文の品を口へと運ぶと二人とも満腹になってしまった。伊蔵はこの『たからや』さんで比較的安く飲める『鬼ころし」を飲んでいた。アルミ製のコップに冷やで注がれた『鬼ころし』。これをガラスコップに移して飲む。昔の『たからや』さんでもこれを伊蔵は好んで飲んでいた。
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昔から馴染みのお店という事でアキラ氏と随分のんびりと飲んで話してしまった。『たからや』さんのマスター、ママさんの昔と変わらない笑顔が良かった。これからも仕事帰りのサラリーマンを癒し続けていって貰いたい。

連休二冊

三連休は終わってみれば前半は『台風4号列島縦断』に始まり後半は『新潟県中越沖地震発生』と天災に見舞われた連休だった。伊蔵はどこかに出掛けようかと考えていたが出ばなを台風で挫かれてしまった為、ずっと引き蘢ってブログ更新と読書に勤しんでいた。
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まずこの一冊。坂東眞理子/著『女性の品格』。全然読む気が無かったのだが欲しかった本が見当たらなかったのでたまたまベストセラーコーナーのナンバーワンであった本著を購入した。現在120万部を超える勢いで売れているらしい。著者について書いておくと、

◆坂東眞理子(ばんどうまりこ)
1946年富山県生まれ。東京大学卒業。1969年総理府入省。
内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事を経て、1998年女性初のオーストラリア・ブリスベン総領事となる。2001年内閣府初代男女共同参画局長。2004年昭和女子大学教授を経て、同大学副学長、同大学女性文化研究所長。2007年4月より同大学学長。(PHP新書より)

と、見事な略歴の著者。どんな堅物かと思いきや見た目は“普通の優しいおばあちゃん”といった感じだ。普段伊蔵はこういった手の“ハウツー本”は読まないタチだが、フムフムなるほど自分にも心辺りがある、納得出来る、活用してみようか等、普通の小説の様に場面場面を想像しながら読む事が無く、前述の事柄を納得しながら比較的に早く読めるところが暇つぶしに丁度良いのだ。

さてこの『女性の品格』。読んでみると何の事は無い。一口に言うと比較的常識的な事が書いてあるだけだ。普通に常識的に生きている女性(人生経験から自然にこの様な事が身に付いている人)には『なぜこの本がこんなに売れるのか』と理解に苦しむかもしれん。ただ現代では昔良しとされていた礼儀やマナーがどんどん省略されてしまっている事と、マナー自体が予想以上に低下してしまっている事がこの本が売れる一つの原因だろう。書いてある事をいちいち守る事はないが、日常生活や仕事の場で気を付けないといけない部分を学ぶ事が本著で出来る様に思う。

何よりも『女性の品格』というタイトルから、女性だけにターゲットを絞ったハウツー本かと思われるがそうでもない。伊蔵の様な男性が読んでも結構面白い内容となっているし、学ぶべき部分や気が付かされる部分はそこかしこに書かれてあった。伊蔵は考え方が頑固な方(人に言わせるとそうらしい)なのでこの本を読んだからといってすぐに改善しようとは決して思ってはいないのだが(笑)、気付く気付かないでは随分違うと思うのである。
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もう一冊は、渡辺淳一/著『鈍感力』。こちらの一冊もついこの前までベストセラーだったらしい(伊蔵はベストセラー本も普段ほとんど買わないのだ)渡辺淳一氏というと『失楽園』の著者として有名な作家だ。

◆渡辺淳一(わたなべじゅんいち)
1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒業。医学博士。
整形外科医のかたわら執筆を始め、1965年『死化粧』で脚光を浴びる。1970年『光と影』で第63回直木賞を受賞。1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞受賞。2003年に菊池寛賞受賞。

『鈍感力』とは良い意味で、人生における失敗や人が言う事に惑わされ、あれこれとくよくよ考えずまるで柳の様に受け流し、物事を前向きに捉え明るく生きる『力』の事をいう。う〜んこれはくよくよ考え込む伊蔵にピッタリの本ではないか(笑)という事で買ってみた。だが読んで“『鈍感力』というチカラは必要だな”という事はわかるのだが、悲しいかな・・・

『伊蔵は頑固者』

なのである。簡単に鈍感にはなれないんである(笑)ただ十分に鈍感な部分も自分にはあるのだが、それが鈍感であってはならない部分が多々あるだけに困る。この点については先程紹介した一冊目の『女性の品格』を読んでいても、うは!ヤバイ・・・と気が付く部分があった。鈍感であってはならない部分については気が付く事で何とか改善は出来そうだが、鈍感になりたい部分は自分の性格が関っている為に、なかなか改善する事が難しい・・・

『ん!?』

今思い当たったが“くよくよ考える自分”を伊蔵自身がそれを“自分の良い所”だと肯定し、その性格を頑固であるとか改善せねばならないとか嫌な性格だと考えずに、性格を治したいというその事自体に『鈍感』になればよいのではないか?と唐突に気が付いた。このように文章に書くと妙な事に気が付く事があるので面白い。解決だ!(笑)

連休中に読んだこの二冊。暇つぶしには十分面白かった。
また明日本屋に行って新しい本を買わねば!

『冷蔵庫処理』を命ぜられる

先週水曜日の晩の事。伊蔵の携帯にtakeさんよりメッセージが入っていた。

『明日、例によって冷蔵庫の食材をやっつけにきてくれまいか』

との事だった。takeさんは金曜日の晩からハワイへと旅だってしまう為、毎度の事だが冷蔵庫内の食材を全て使い切ってから高飛びしたいという訳である。平日の木曜日という事もあって仕事の都合を何とか切りをつけてから伊蔵はtakeさんの店に向かった。『食い付きが早いねぇ〜伊蔵君!』とtakeさんは迎えてくれた。ていうか“冷蔵庫処理班”は自分しかおらんやろって感じなのだが(笑)
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ステンレス製のトレイの上に何かが乗っかっていた。『岩牡蠣』である。こんなデカイ岩牡蠣は見た事ないぞ・・。takeさんによると巨大な牡蠣は当たり外れが多いらしくデカけりゃいいって物でもないらしい。殻がいくら大きくても開いてみると身が小さかったり反対に詰まっていたりするとの事。
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殻を開いてみると結構身が詰まっていた。しかしデカイ。普通に食べるサイズの二倍くらいあるのではあるまいか・・。
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うは〜〜まさに“皿いらず”(笑)殻自体がお皿の代わりに十分なる。普通はレモン汁を垂らして牡蠣を頂くがこの牡蠣は身の味が濃いので何も付けなくてもよい。実際に口に入れる前から磯の香りがプンプンだ。牡蠣の手前に添えられているのは先日R嬢が持って来てくれた『さくらんぼ』だ(笑)日本酒を口に含みつつ牡蠣を頂いた。全般的にこれといって複雑な味のする生牡蠣ではないが、身の中心部は非常にクリーミー。しかし量が多く、しばらく牡蠣は食べなくてもよい位だった(しかし次の日の会社の仕出し弁当の中にカキフライが入っていた事をここに記しておく・笑)
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これは『茄子と人参のピリ辛煮込み』。これは旨かった。茄子や人参も十分に煮込まれて柔らかくピリピリした味わいが酒にとても良く合う。

takeさんも明日から海外という事でここ数週間、日本でしか味わえない料理を食い溜めしていたようだ。現在は現地での美味しい食事をいろいろと検索中のようで、真面目にメモまで取っていた。旅に出る前というのはこういう行為をする事自体が非常に面白いものなのである。
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これは『ミツバのお浸し(ごま油風味)』
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『焼き鯖』
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『ホタルイカの塩辛とシメジ・エノキの味噌仕立てホイル焼き』。これも美味しかった。ほとんど残り物を組み合わせた様な料理だが塩辛を使っているので酒の肴として十分な仕上がり。シメジやエノキにも味噌と塩辛の味がしみて歯応えもよく旨い。
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これにまた唐辛子を投入するとまた旨味がさらに増す。この味噌スープが旨くてスプーンですくって飲んでいたら、『伊蔵君、あんまり飲むと“塩分過多”になるよ・・』とtakeさんに言われてしまった。そうだ塩辛も入っていた。しかし癖になる味だ。
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日本酒で塩辛さを中和しながら『冷蔵庫処理』を続ける伊蔵であった。この日本酒も勿論処理対象品である(笑)
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『明太子とレタス、タマネギのサラダ(シソ風味)』
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先程出て来た『茄子と人参のピリ辛煮込み』をオンザライス。
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最後にtakeさんは残り物をパック詰めにしてくれた。

●『胡麻の葉』
●『チャンジャ』
●『茄子と人参のピリ辛煮込み』
●『さくらんぼ』

豪華四点セットだ。この四点セットでtakeさんの居ない間食い繋がなくてはならないというのはちょっと大げさだがこの四点を持たせてくれたtakeさんの気持ちが嬉しい。見事に伊蔵の『冷蔵庫処理』は完了した。金曜の晩には『セントレア』からtakeさんはハワイに向かって旅立つという。今回はどんな土産話が聞けるのか今から楽しみだ。

二軒目

『宙』での食事の後、F部長と伊蔵はm-kさんの先導で錦の歓楽街を歩いていた。空は真っ暗だというのにこの街は昼間の様に明るい。あまりこの歓楽街で飲んだ経験は無い伊蔵だが一時期はハマって飲みに行っていた事がある。

m-kさんはあるビルに入って行った。様々な飲み屋が入っているビルのようであった。エレベーターに乗り三階のボタンを押す。三階フロアのある店に我々は案内された。
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それは『authentuck bar Wein(バイン)』という名のBARであった。扉を開けると薄暗い店内にはジャズがBGMとして流れ、大変大人な雰囲気。カウンター席の奥の棚には様々なボトルが立ち並んでいる。カウンター席の反対側にはいくつかのテーブル席があってかなり年輩のオジサン達が酒を片手に会話を楽しんでいた。店の名前『Wein(バイン/ヴァイン)』はWine(ワイン)のドイツ語読み表記である。
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我々はカウンター席へと通された。めいめい好きなお酒を飲む事になった。伊蔵は久しぶりにバーボンのオンザロックを飲んでみる事にした。これを飲むのは随分久しぶりの事である。過去にいろいろな酒を飲んで来て最近は焼酎、日本酒に落ち着いた感じがする。日本人に丁度合っているアルコール度数だからであろう。

カウンター内には白髪のダンディーなマスターと若いバーテンダーが二人詰めていた。お酒に付いても分からない事があれば親切に教えてくれるし、自分の好みに合ったカクテルもお客さんの意見を聞いた上で作ってくれる。伊蔵は昔好きで良く飲んでいたバーボン『WILD TURKEY8年』を頼んだ。m-kさんとF部長はカクテル系のお酒を頼んでいたようだ。伊蔵はどうも飲みやすいカクテル系は苦手でどちらかというとカッと身体が熱くなるものがイイらしい。

バーボンが伊蔵の前にやって来た。口にバーボンを注いでみると久しぶりに懐かしい味がした。甘くてどこか焦げ臭い味わい。アルコール度数は50.5度もあるが決して飲みにくいという事はない。カウンター席に座ってバーボンを飲みながら静かに伊蔵は自分の世界に沈んで行く事を自覚していた。隣ではm-kさんとF部長が話しているようであった。
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考えてみると以前の伊蔵の酒の飲み方は“酔う為、酩酊する為”に飲んでいた。夜もなかなか寝付けずに寝る前に強いウイスキーをストレートのまま大量に喉に流し込んでいた事もあった。飲んでは他人に電話しあたり散らした事や、酩酊して外で寝てしまう事も多々あった。今考えると恥ずかしい限りである。今でも些細なお酒の失敗はあるものの、前後不覚になるほど酩酊する為に飲むような事は無くなった。

話をしながら楽しく飲むのもいいが、たまにはこうして強い酒を飲みながらいろいろと答えの無い何かを考えるのもいいなあと思いつつ伊蔵はバーボンを飲んでいた。ただ伊蔵は飲むペースが少々早く瞬く間にロックグラスが空になってしまった・・。こういう店の主旨にひょっとして自分は合っていないのではなかろうか?などとまたいろいろな考え方がマイナス方向へ向かってしまう裏・伊蔵と伊蔵は心の中でせめぎあっていた。昔の悪い飲み方が身体に残っているのかもしれない。伊蔵はひとりで飲む時(この時はひとりでは無かったが)はこういう傾向に陥りやすい。もうひとりの裏・伊蔵を心の中に発見してしまった途端に伊蔵は不機嫌になってしまうのである。

こういう時はどう取繕うにも裏目に出てしまう伊蔵なのであった。案の定、伊蔵のバーボンを飲むペースは上がり始めてしまった。それでも何とか自制していたが、m-kさんとF部長には伝わってしまったらしく大変悪い事をしてしまったと思う。結局都合四杯飲んでしまった(これだけで済んで良かったと今では思っている)。折角感じの良いBARをm-kさんに紹介して頂きながらこの体たらく、大人の飲み方がまだまだなっていない伊蔵であった(悲)

とはいえ今回の接待(飲み会)はお互いに楽しいものとなった事に違いはない。
m-kさん、F部長お疲れ様でした。これからもひとつ宜しくお願いします。<完>

めぐりあい『宙(そら)』/その7・一期一会のおもてなし

さて宴もそろそろ最終段階へと入った。
一品一品の量が少なく感じた伊蔵だがコース料理を一通り食べ終わると不思議な事にこれが丁度腹八分目で心地が良い。この辺りはなかなか考えられているようだ。
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m-kさんも今夜の料理と酒に大満足のご様子(笑)F部長も伊蔵もこれに同じだ。普段はなかなか足を運べないお店だけに十分に堪能した感じだ。
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コース料理が終わって最後にM君が運んで来てくれたのはひんやりと冷たい『黒糖わらび餅』であった。
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文字通り黒糖をわらび餅に練り混んである為、色が黒い。これにきな粉が少々かけてあるというもの。自然の甘さと冷たい口当りの嬉しいデザートだった。

『これで今夜のお料理は以上になります。本日はご予約頂きまして有り難うございました。』

と、お客様係のM君から丁重なご挨拶が。思わずこちらが恐縮してしまう程だった。こちらこそ美味しい料理を頂いて満足した旨を伝えると実に良い笑顔を返してくれた。そしてM君は今夜『宙』に足を運んだ我々三名にささやかながらお土産を用意してくれたのだった。
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『宙』とお店のロゴが貼られた小瓶に入っていたのは“ちりめんじゃこ”。お店で塩茹でにしてわざわざ小瓶に一つ一つ収めたものだという。
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こういう小さな粋なもてなしを受けると不思議と「もう一度足をはこんでみようかな」という気持になるから不思議だ。お客の心をガッチリと掴む術をしっかりと教育している事が伺える。

『今度ご予約の際は私の名前でご予約くださればお役に立ちますよ。』

M君は気持ち良く言ってくれた。満足した我々は個室を出た。時間的にまだ早い為、店内は人でごった返していた。個室もなかなか良かったが改めてカウンター席を見てみるとこちらも料理を作っているところが間近に見る事が出来てかなり面白そうだ。『宙』さんのお料理はどれも大変美味しかった。料理だけでなく店内の雰囲気は勿論、お客へのサービスも丁寧で気が利いていて楽しかったです!有り難う。そして御馳走様でした!またいつか足を運んでみたいと思います。

地上へ上がる暗い階段を上ると外はすっかり夜も更けて名古屋の夜の歓楽街『錦』に変貌していた。十分日本酒を飲んだはずだがまだ飲み足りないのと時間も早いのでm-kさんがBARを紹介してくれる事になった。久しぶりに歩く錦の歓楽街は何だかとても懐かしかった。<めぐりあい『宙』編/おわり>

※お料理の名称や材料の資料を集める件に際し、m-kさんに大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。(今度はメモとります・笑)

◆『宙(そら)』
・住所/名古屋市中区錦3-17-28 ブルームーンビルB1
・電話/052-972-9977
・営業時間/お食事 5:00pm-0:00am(11:00L.O.)
バー 11:00pm-4:00am(3:30L.O.)
・定休日/日曜・祝日
・ホームページ/
http://www.bar-and-restaurant.com/nagoya/detail.php?id=S10490

めぐりあい『宙(そら)』/その6・料理と器

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イサキの塩焼きを堪能した後に出されたのは『蟹肉、トロロ、ワカメの酢物』サッパリ系の料理だ。また盛られた器がイイ。こうした食事を頂く時の楽しみとして器を見るという楽しみもある。使用する器ひとつでも盛られた料理が見た目に旨く見えたり不味く見えたりするので、“器と料理”の組み合わせは非常に重要である。特に昔からこの東海地方は器を造るのに良質な地質に恵まれているので、様々な陶磁器の産地として有名な土地である。

伊蔵の地元では特に『美濃焼(みのやき)』が有名だ。美濃焼の一種『志野焼』は伊蔵地元でも昔から造られている有名な焼物で窯跡などの遺跡も多数発見されている。元々『瀬戸もの』で有名な瀬戸(愛知県瀬戸市)の陶工達が室町時代に戦火を逃れて美濃国に入り、焼物を造った事が始まりとされる。『志野焼』は永く瀬戸で造られていたという説があったが、陶芸家『荒川豊蔵(あらかわとよぞう)』(人間国宝・1897〜1985)氏が岐阜県可児郡久々利村の山中の窯跡において、桃山時代の『志野焼』の陶片を発見し、『志野焼』は瀬戸ではなく美濃で造られていた事が明らかとなった。彼の功績を記念して『豊蔵資料館』も建てられている。同じくこの地方で活躍した陶芸家に『加藤唐九郎(かとうとうくろう)』(1897〜1985)彼も桃山時代の陶芸研究と再現に務めた陶芸家として広く知られている。

この地方がこれほど陶磁器の一大産地となったのは、戦国時代末期における戦国大名の保護のもと千利休によって大成された『茶の湯』の隆盛と恵まれた地質、当時の庶民達の生活雑器として陶磁器が多く使われる事になったという背景がある。大名の中には茶の湯を楽しむだけで無く、自分好みの焼物を造ったり、茶の湯道具だけでなく作庭も自分流にプロデュースしてしまう『古田織部(ふるたおりべ)』や『織田有楽(おだうらく/信長の弟にあたる)』などの大名茶人もいた。

とにかくただ食べるだけ、飲むだけではつまらないので器にも目を向けて知識を入れておくと料理を楽しむ上で一種の和の食事の広がりを感ずる事が出来るように思う。
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酢物の後には小型のお釜で炊かれた『鰻の釜飯』が登場!!釜の蓋を開けて中を覗くとツヤツヤとしたタレに浸され焼かれた鰻が燦然と輝き、さらにその下には実に旨そうなお米が白くこれまた輝いていた。釜で炊かれたお米なので表面のお米が立っている!お客様係のM君がしゃもじで丹念にかき混ぜてくれた。
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うほほほ・・・こりゃ〜旨そうだ(笑)釜にはオコゲも出来ていてこれがまた香ばしくて美味しい。釜で炊いた御飯はやはり美味しく、鰻の身もホクホクと柔らかい。これを一緒に口に頬張る贅沢は何ともいえない・・・。
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『鰻の釜飯』に一緒に付いて来たのは『潮汁(漁師汁)』。塩焼きや刺身にした魚の中骨などから出汁をとった味噌汁仕立てにしたものである。こちらもイイ出汁が出ていて海の香りがいっぱいだ。単純な味噌汁なのだがこれがまた旨い!本当に美味しい料理とは手の混んでいないものなのかもしれない。<つづく>

めぐりあい『宙(そら)』/その5・イサキめぐり

宴はなおも続く。
美味しい食事と酒を飲みながら伊蔵は考えていた。
“めぐりあわせ”とは実に不思議なものである。元々m-kさんとはtakeさんの店で初めて話をした自分の知り合いではないお客さんだった。F部長にしても伊蔵が前に勤めていた会社に出入りしていた外注さんであり、かつまた飲み仲間のひとりであった。この二人は無職時代の伊蔵を何らかのカタチで支えてくれたし、F部長に至ってはそんな伊蔵を拾ってくれた恩人である。巡り巡って現在共に仕事をしているこの展開が面白い。こういう仲間との繋がりを長い間に保って来れたのはtakeさんの店のお蔭だろう。

誰しもこういう“めぐりあわせ”の不思議に気が付く一瞬があると思うが、伊蔵にとってはtakeさんとの出会いによって得られる“めぐりあわせ”が最も大きなウェイトをしめている感じがするのである。この人に出会えて本当に良かった。感謝しなくてはなるまい。今回のレポのタイトルを“めぐりあい”としたのもこうした経緯があるからなのだ(ファーストガンダムの『めぐりあい宇宙』編に店の名前を掛けたのもあるが・笑)さあ話を料理の紹介に戻そう。
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先程の『栄螺の肝和え』と一緒の器に乗せらていたこちらの品は『伊佐木(イサキ)の塩焼き』。イサキは夏の産卵期の今が旬の魚である。刺身、塩焼き、煮付けにしても美味しい白身の魚で釣り人にも人気の魚として知られている。各地でこの魚の名の呼び方が違うのも面白い。変わった名として一例を挙げると和歌山県ではイサキの事を“カジヤコロシ(鍛冶屋殺し)”と呼ぶ。これは骨の硬い事で知られるこのイサキを食べた鍛冶屋が喉にその骨を詰まらせて死亡したという説が由来だそうだ。

先程もイサキは一品出て来たのだがこちらの塩焼きも今が旬の魚とあって大変旨かった。旨さと酔いに任せて『イサキめぐり』なんてギャグも飛び出す始末(笑)
♪イサキ〜めぐりのぉ〜バスは〜走るぅ〜♪
本来は山本コータローとウィークエンドの名曲“岬めぐり”1970年代の古い曲だ。

●岬めぐり(youtubeより)
http://www.youtube.com/watch?v=-pce7TH4oIU

この『伊佐木の塩焼き』を頂いている時点で日本酒の量はどの程度進んでいたのだろうか・・すぐに無くなってしまうので『黒龍』から他の日本酒に切り替える事にした。お客様係のM君の薦めで『蓬来泉』の吟醸生酒を頂く事に。『蓬来泉』は愛知県北設楽郡設楽町に本社を置く関谷醸造が造る日本酒である。M君もなかなかの日本酒好きとみえて、この関谷醸造へと足を運んだ事があるとの事だった。この吟醸生酒も非常に口当りが良くツルツルと飲めてしまう。ビールと違って腹も膨れないので食事も美味しく頂けるのはいいのだがあっという間にどんどん量を飲んでしまっている我々三人であった・・・。<つづく>

めぐりあい『宙(そら)』/その4・逸品に出会う

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美味しく日本酒を頂きながら談笑していると二品目が運ばれて来た。『刺身盛り』だ。丸いお皿に細かく砕かれた氷が敷き詰められていてその上にマグロ、ヒラメ、アオリイカの刺身が載る。周りにはシソや冬瓜もしくは大根?のスライス等が彩りを添えているといった一品。こちらの品も非常に涼し気。和食料理の良いところはこういった旬のものを新鮮なままで頂ける事に加え、盛り方ひとつにも気を配っていて見た目にも季節感をかみしめながら味わえるといったところにあるだろう。

しかし如何せん量が少なく感じてしまう伊蔵なのであった。しかし本来の日本料理とはこういうものなのかもしれないと思いつつ美味しく頂いた。普段のF部長と伊蔵は腹に詰め込めるだけ詰めるといった食べ方をしているのでこういうお店に来た時くらいは我慢我慢だ(笑)日本酒を頂きながら食べるならこれくらいの量が身体にもいいのかもしれない。
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お次の品は『冬瓜と浅蜊の煮物』。野菜不足の伊蔵の身体に良さそうな一品だ。冬瓜と浅蜊にかけられているトロミの利いたスープが特に美味しかった。浅蜊から出た出汁を使用してある感じ。成分のほとんどが水分で味の無い冬瓜にもこのスープが上手く染み込んでいてとても美味しかった。日本酒もそこそこ進んで来た所にこの一品が運ばれて来るところがなかなか心憎い。浅蜊には“タウリン”という栄養素が含まれており、血圧やコレステロールの低下作用の他、肝臓の解毒作用がある。鉄分も多く含まれているので身体に良い事づくめなのだ。
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次は『サザエでございま〜す!』というのは少々冗談が過ぎるが『栄螺の肝和え』である。こいつは酔いが醒める程かなり美味しかった!!お客様係のM君が説明してくれたが栄螺の肝をワインで煮込んで風味を付けたものであるらしい。早速m-kさんが箸で肝を摘み口へ入れた。次の瞬間・・

『!!』

どうやら凄く美味しいらしい(笑)伊蔵も口に入れてみた。思わず『これおいしぃっ!・・』と『薬丸裕英(シブがき隊のヤックン)』化する伊蔵。普通の栄螺の肝焼きなどの料理も独特の磯の香りがして非常に美味しいものだが、この『栄螺の肝和え(ワイン風味)』は今まで味わった事のない旨さであった。こういう自分の味覚に無い料理を発見する瞬間というのはとても嬉しいものだ。

栄螺の肝はワインで煮込んである為、貝類の肝独特の臭みが綺麗に消えている。新鮮な肝の臭み(香り)が旨味なのに消してどうするのだという意見もあろうが、そこは料理のカタチの違いであり批判を加えるところではなかろう。その肝の味はというと・・例えはお店の料理人には少々悪いかもしれないが、どこか“ホルモン焼き”の味がした(笑)肝という内臓系をワインで煮込んで味付けしてあるので味がそうなるのかもしれない。しかしこれは目が覚める程美味しかった。本日のナンバーワン料理に認定した伊蔵であった。<つづく>

めぐりあい『宙(そら)』/その3・和食と日本酒

『いつもお世話になっておりやす!!』

まずは生ビールで乾杯。一息ついた。
F部長はこのお店『宙』さんを予約する際、コース料理(一人7,000円)を選択していた。飲み物は勿論別料金である。

さてお客様係のM君が一番最初に運んできてくれたものは、小さな器に置かれたトウモロコシであった。こういうお通しもちょっと珍しい。M君は物腰も柔らかく、丁寧に食材の説明までしてくれた。この点もお客としては非常に嬉しいサービスだ。伊蔵としてもあれこれブログ更新の為に料理の事を聞かなくてすむ(しかしひとたび酒が入るとメモをとらない限り忘れてしまうのがイタイとこだが・笑)

このトウモロコシは埼玉県産のもので品種は『味来(みらい)』という。生でも食べられる程その実は非常に甘い。普通のトウモロコシよりもサイズが少々小ぶりだが甘さと旨さが全然異なる。M君は『そのままかぶりついてお召し上がり下さい』というので我々三名は遠慮無しにトウモロコシにかぶりついた。確かに説明を受けたように味付けも何もしなくてもトウモロコシ自体が甘いので美味しく頂けた。
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そして現れたコース料理の一品目。『牛乳豆腐』と『伊佐木(イサキ)の焼物』、『鱧(ハモ)の梅肉和え』。可愛い器に盛られたこれらの料理は全てひと口ふた口で十分食べきれてしまうのだがそれでは何だか勿体ない感じだ。F部長と伊蔵は二杯目の生ビールを飲んでいたが料理が出されると案の定m-kさんは日本酒方面へと向かうようであった。お客様係のM君が飲み物のお品書きを持って来てくれた。様々な日本酒銘柄が並んでいたがどれも値段が少々お高いようだ・・・。

数ある日本酒の中に福井の名酒『黒龍』の名を見つけた。m-kさんの大好きな銘柄のお酒である事だしそれを頼む事に。こういう料理にはやはり日本酒が合うだろう。『黒龍』の旨さは伊蔵も福井の旅の時に和食と一緒に飲んだ経験で知っている。普段はビール党で日本酒を飲まないF部長も釣られて飲む事になった。
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『黒龍』は“日本酒は内側から冷やすぜ的酒器”に入れられ我々の前に姿を現わした。これを小振りの黒い陶器製の猪口で頂きながら伊佐木と鱧を食べる。冷えた黒龍と料理は大変相性が良く美味しさに感動すら覚える。

中でも鱧は伊蔵の好物。しっかりと手間のかかる“骨切り”がしてあり、ふんわりとした身の淡白な味と食感に加え梅肉の酸味が利いていて実に爽やかな味の料理であった。牛乳豆腐は初めて食べたが不思議な味だった。見た目が豆腐なのに牛乳の味(ほんのりだが)がするのだから仕方が無いだろう。伊佐木の焼物も実に良かった。味醂か何かで下味がつけてから程よく炙ってあるようだ。身も厚くてプリプリしていてお代わりが欲しいくらい(笑)

日本酒を飲むF部長は普段あまり見ないので不思議な感じがした。こうした和食と一緒に頂く日本酒は料理の味わいを二倍にも三倍にも膨らませるという不思議な効果があるという事と日本酒自体が米から醸される為に和食にはよく合うのだというm-kさんの“日本酒講座”にF部長も納得の様子であった。ついつい三人とも日本酒が進んでしまうのだった。<つづく>

めぐりあい『宙(そら)』/その2・四畳半個室

個室の中でお客さんはお待ちであった。
実はこのお客さんというのはm-kさんの事だ。m-kさんとはtakeさんのお店を通じてF部長、伊蔵も顔なじみの方。仕事を通じてのお客さんというよりは“飲み仲間”という感がどちらかというと強い。がしかし今年の五月初旬よりm-kさんの勤める会社の仕事を受ける事となり現在に至る。五月から現在の七月に至るわずかの期間の間に大小様々なお仕事を頂いた御礼の意味を込め、本日の接待のなった訳である。

お互い顔見知りである為、堅苦しい接待ではない。まずF部長と伊蔵は遅参したお詫びを申し上げてから個室(和室)の席へと腰を降ろした。遅参した事をm-kさんは何も咎める事はなかった。これから美味しい料理とお酒を飲む事が出来るので咎め無いのも当たり前といえば当たり前なのだが(笑)

個室は畳敷きの和室で広さは四畳半。これは伊蔵が一番落ち着く広さで嬉しかった。畳は畳縁の無いものが敷かれていて、壁は一面に厚手で色が暗めの“和紙”が貼付けられていて茶室建築の壁によくある様な遊び心が感じられた。天井に目を向けると、どうやらこの個室の上に地上から地下へ続く階段が通っているらしく(伊蔵らが先程下って来た薄暗い階段の事)個室の天井部分の約三分の一が斜めに傾斜していた。しかし圧迫感や違和感はなく逆にこの天井の傾斜がこの飾り気の無い質素でシンプルな個室の一つのアクセントになっている感じがした。一見活用出来そうも無い狭い空間を十分生かした個室といえるだろう。

個室の中央部分には卓が置かれ北面にm-kさん南面にF部長、西面に伊蔵が座るというバミューダならぬ『酒飲みトライアングル』がここに形成された。

個室に落ち着いたところでしばし仕事のやりとりをし終わった頃、個室の入口の暖簾をくぐって背の高い坊主頭の若い青年が入って来た。彼はこの『宙』のお客様係M君である。これ以降、彼が料理一切の事を取仕切ってくれるようであった。

後で名刺を頂いて名前が分かったM君。肩書きはお客様係。彼の主な役目は『お客様のわがままお受けします』との事。

次回からはお待ちかねの料理のレポに話を移そうと思います。<つづく>

めぐりあい『宙(そら)』/その1・異空間

先週某日。スーツに身を固めた伊蔵は、名古屋の歓楽街“錦三丁目”のある店に『F部長』とタクシーで向かっていた。約束の時間は午後七時。まだ辺りは明るいが車道は混んでいる。このままでは少しばかり遅れそうだ。錦の歓楽街は夜をむかえるにしたがって続々と人が集まって来ているようだった。店から少し離れた場所でタクシーを降り、F部長と伊蔵は足早に店へと向かった。実はこの日は仕事で大変お世話になっているお客さんの接待日に当たっていたのである。

待ち合わせの店の名は『宙』。この一文字で“そら”と読む。
なかなか読めない人もいるがファーストガンダム世代の伊蔵は何となく普通に読めた(笑)
日本料理のお店である。ビルの一階にポッカリと空いた四角い入口には白い暖簾に墨文字で店の名が染め抜かれていた。その暖簾をくぐると地下へと向かう階段が続いていて、その薄暗い階段をF部長と伊蔵は下った。下り切った場所には間口は普通だが高さが異常に高いガラス扉があり、ちょっと普通のお店ではないような雰囲気を味わう事になった。ガラス扉を通過すると右手にまた暖簾があった。どうやらこの暖簾の先が店内のようだ。
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暖簾をくぐった先には広い地下空間が広がっていた。これは店の設計が地下一階部分と地上一階部分が融合した吹抜構造となっている為だ。入口を入ってすぐの左右には大小カウンター席と厨房がある。カウンターの座席も椅子という物では無く、座り心地の良い『肘付ソファー』というべき席が誂えてあった。あくまで店内の照明は暗めで隠れ家的雰囲気を醸し出している。この一種独特の異空間的雰囲気に目眩を起こしそうになった。

『予約を入れたFですが・・・』

F部長がお客係に声をかけると予約してあった個室へと我々は通された。お客係の皆さんの対応も非常に丁寧で好感が持てた。約束の時間ギリギリだった事もあって我々が接待すべきお客さんはすでに到着してしまっているようだ。カウンター脇の暗い通路を歩いて階段を上った先にその個室はあった。個室手前で靴を脱ぎ、その狭い空間に足を踏み入れF部長と伊蔵は開口一番・・・

『お待たせして申し訳ありません!!』

二人はすでに到着していたお客さんに対して遅参したお詫びを申し上げたのだった・・<つづく>

石塚硝子/ガラス食器バーゲン見学記

日曜日の昼下がり、伊蔵は『岩倉市』に居た。岩倉市に本社を置く『石塚硝子』の工場へと向かう為だ。7月7日・8日の二日間、この工場を一般開放して『ガラス食器バーゲン(通称:アデリアバーゲン)』が行なわれる為だ。伊蔵は知らなかったが、この催しは毎年行なわれており、ここ岩倉市の本社工場だけでなく石塚硝子姫路工場、石塚硝子東京工場等でも同じ時期に行なわれている。
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『石塚硝子株式会社』はガラス食器・容器、セラミック製品等を製造販売する岩倉市内でもかなりの規模を誇る会社である。創業もかなり古い。1819年(文政二年)というから江戸時代後期である。180年以上の歴史があり、創業者は『石塚岩三郎(いしずかいわさぶろう)』という下総出身(現在の千葉県)の武士階級の人。ガラス製品が日本に入って来たのは戦国時代の事でポルトガルから長崎にもたらされた。当時はガラスの事を『びいどろ』もしくは『ギヤマン』と呼んでいた。『びいどろ(ヴィードロ)』『ギヤマン(ダイヤモンドの意)』の言葉はポルトガル語に由来する。

先の『石塚岩三郎』は長崎でオランダ人からガラス製造の技術を学び、出身地の下総へ戻る途中、美濃国可児郡土田村(現在の岐阜県可児市土田)において良質な原料を発見した事からこの地に腰を据えてガラス製造を始めたという歴史を持つ。

名鉄岩倉駅に降り立った伊蔵は石塚硝子の工場への道を徒歩で向かった。このイベントを知ったのは実は仕事上で繋がりがあるからである。『F部長』夫妻も本日このイベントに足を運ぶという事を聞いていた。工場に着いてみるとかなりの賑わいに驚いてしまった。
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いつもは工場で働いている人々なのだろう、みんなお揃いの黄色いTシャツを着て暑い中、交通整理やガラス製品の販売をしていた。う〜ん何かいいなこの雰囲気。自分達で造り出した物を自分達の手で地域貢献の為に安く奉仕するこの企業精神は素晴らしい。
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会場では各種ガラス製品やギフト品などが格安で販売されていて大盛況。販売品の他、模擬店やガラス表面に模様を付けるサンドブラスト加工の実演等が開かれていた。伊蔵は中でも『津軽びいどろ』という製品があるという事を聞いていたので期待して販売所に行ってみたが来たのが遅かった・・・すでに大部分の商品が売れてしまっていた。これは痛かった。

ぶらぶらと販売所を回って商品の目星をつけていった。その時、伊蔵の隣で聞き覚えのある声がっ!声のする方を振り向いて見るとそこには『F部長夫妻』が!肘で突ついてやると、

『おおお!』

と驚いていた。まさかこの大人数の中で相見えるとは思わなかった(笑)『F部長』は暑いから模擬店で“かき氷”を食べたらしい。しばらく話をした後、別れてしまって行方知れずとなってしまったが会えて良かった。そうこうするうちにイベント終了1時間前となった。そうすると販売所のあちこちから『今の時間から半額です!』との声が!伊蔵は目星を付けておいた『焼酎ロックグラス』の元へ走った!がしかし・・・・焼酎ロックグラスは“がめついオバちゃん”どもの買い占めにあって全ての商品が消失していたのである!!

“オバタリアン”

久しぶりにこの今では死語となっている言葉を思い出した。言葉は死語となっていても彼女らは歴然と現代に存在していたのである。そんなに買い占めるなよなぁ〜〜。ガックリだ。
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しばらくこの『ガラス製品半額争奪戦』は続いていた。伊蔵は何とか数点の商品を手に入れる事が出来たのだが、オバタリアン達の買い占めには全く参ってしまった。参りながら岩倉駅への道を歩く伊蔵なのであった。

今が旬の『鮎』と・・・

週末の土曜日、伊蔵はかねてからtakeさんから『鮎』入荷の話を聞いていた。takeさんは一週間後には日本を離れハワイに出掛けてしまう。その為takeさん自身も今の内に和食を食べためておかねばならない事もあって今が旬の『鮎』を用意するから伊蔵君も食べに来なさい!という事であった。そういえば昨年もtakeさんのお店で『鮎の会』を開き、鮎をご馳走になった事を思い出した。

午後七時過ぎにtakeさんの店の外に立ち木戸をノックする。ガチャリと鍵が開けられ中に入ると意外な先客がカウンターに座っているではないかっ!!

『伊蔵さんひさしぶり・・』

カウンターに座り第一声を発した小さなその女の子は『R嬢』であった。『R嬢』と再会するのは以前二月にtakeさんの店でモツ鍋を一緒に食べて以来四ヶ月振りの事である。このサプライズゲストを用意して伊蔵を驚かせる事に成功したtakeさんは得意気だった(笑)久しぶりに顔を見る『R嬢』はかなり痩せて見えた為、その事を指摘すると数カ月に渡って様々な病にかかって弱っていたのだという・・う〜むいかんいかん早く身体を元に戻しなさい!と伊蔵は申し上げた。しかし驚いたのはそれだけではなかったのである。

『伊蔵さん・・私、七夕の今日入籍したの・・』

!Σ( ̄□ ̄;)えええええ!?マジですか??伊蔵は驚きを隠せなかった。しかし考えてみると彼女も先月の六月に27歳になったのである。全然入籍したとしても可笑しくはない。伊蔵と初めて会った時『R嬢』はまだ二十歳を少し越えた位だった・・・彼女の妹であるY嬢と一緒に蕎麦を食べに行ったのがついこの間のように記憶に残っている。月日の経つのは本当に早い。伊蔵も歳をとるはずである。

『そりゃ〜おめでとう!早速お祝いの乾杯だ!』

とは言ったものの七夕入籍と聞いて伊蔵は心の片隅に発生した少しばかりの寂しさを隠せなかったが、takeさんと『R嬢』とともにお祝いの乾杯をしたのだった。R嬢が言っていたのだが七夕に入籍する人が意外に多かったとの事。今年は特に2007年7月7日と『7』が三つ並ぶ事からこの日を向けてブライダル業界関係の仕事が忙しくなっているというニュースを伊蔵は思い出した。
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考えてみれば『R嬢』がこのtakeさんの店に初めて訪れた時は本当に大人しい子だったが何度か訪れる内に心地よい場所となったのだろう、最近ではぺらぺらとよく喋る。彼女も一人でお酒を飲みたい時はここだと決めているようだ。
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脂の乗った『カツオのタタキ』と日本酒を頂きながら『R嬢』の話を聞く時間はとても楽しかった。旦那さんの在所である北海道の話や、田舎ではインターネットが無くても独自の“噂話のネットワーク”が存在していて何か変わった事が起こると凄まじい勢いで噂話が広がってしまうという話、名古屋人と北海道人の地域性による性格の違いや考え方の違い等の話はとても面白かった。

と、そこへtakeさんの高校時代の同級生であるS氏が来店。『R嬢』の入籍話を聞くと自動的にまた全員で乾杯となってしまった。S氏と『R嬢』も会うのは久しぶりでお互い顔を合わせる事が出来てとても楽しそうだった。
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さて“旬の川魚”である『鮎』の登場だ!伊蔵が鮎を食べるのは昨年飛騨の旅に出掛けてとき以来。う〜んたまらん・・・今日の為にtakeさんがわざわざ仕入れてくれたのだ。
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う〜む見るからに美しい川魚だ・・思わず日本酒を所望(笑)うやうやしくtakeさんは鮎を取り上げ串を打ち始め、打ち終わると鮎の体表やヒレに“化粧塩”を施していた。これを施す事によってヒレが焼け落ちないようになるのと、何より見た目が旨そうに仕上がるのだ。これが終わるといよいよ炭火で焼く。
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これは見ているだけでも(・∀・)イイ!こんがりと焼けていく鮎を肴に伊蔵は日本酒『杜氏の華』を飲んでいた。と、またまた木戸をホトホトと叩く音が!戸を開けるとアキラ氏ではないか!自動的にまた全員でお祝い乾杯となってしまった(笑)『R嬢』もまわりはみんなオジサンながらも祝ってもらってとても喜んでいた。
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鮎もいい感じに焼き上がって来た。表面の塩が白く浮いて来てとても旨そうだ。そして・・・
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デンッ!お皿の上に鮎が泳いで来た(笑)伊蔵はお腹の部分を切り開き、はらわたの苦い部分を最初に頂いてみた。(´Д`) ああぁぁあ・・・う、うみゃ〜よこれ。苦さに日本酒がよく合う。はらわたを十分に味わった後、伊蔵は鮎を頭からかぶりつき身の程よい塩辛さを楽しんだ。川魚はやっぱり伊蔵の大好物だと改めて認識した。鮎の後にtakeさんが用意してくれたのは『鯨の赤身焼き』。
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takeさん、S氏、アキラ氏、伊蔵位の世代だと鯨を子供の頃に給食で食べた経験があるが『R嬢』の年代になると味わった事がないだろう。噛めば噛む程に深い味わいが染み出して来る鯨肉はこれまた美味しい。
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その後は『トリ貝のしゃぶしゃぶ』。トリ貝は最近takeさんのお店では頻繁に登場する食材である。刺身で食べるのも勿論美味しいが、しゃぶしゃぶにすると身の甘味が刺身で食べるよりもより引き立ってまたこれがいいのである。歯応えもコリコリとして楽しい。あっさりしたダシ汁にブツ切りにしたネギ、エノキ、シメジなどを入れて味わうトリ貝のしゃぶしゃぶは海のエキスと山のエキスが鍋の中で複雑に混じり合ってとても美味しかった。特にネギがいい味を出していた。
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最後に『大アサリ焼き』。こいつもたまらぬ。ただ焼いて醤油を垂らすだけでなぜこんなに旨いのだろう。アサリに感謝である。
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アサリファイヤー!!徐々に店内にアサリの磯の香りが漂い始めて来た。食欲を掻き立てる香りである。
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焼き上がった大アサリ。今日の伊蔵はなぜか日本酒が進んで仕方が無い(笑)大アサリという名前だけあって身もたっぷり。味わい甲斐があるというものだ。『R嬢』も今日は楽しかったのだろう時間を忘れて飲んで食べている感じだった。

最後に『R嬢』入籍おめでとう!みんなに祝ってもらえて良かったね。今が旬の『鮎』を味わえた事も伊蔵は嬉しかったけど、今の旬はまさに『R嬢』“あなた自身”です。
いつまでもいつまでもお幸せに。

OKONOMIYAKI MONDAY

『あ〜〜腹減ったなぁ〜』

このところ午後6時過ぎになると伊蔵の勤める会社内ではこの様な言葉を誰かしら発するのがお決まりの様になっている。それはF部長であったり、奥さんのEちゃんであったり伊蔵であるのだが・・(笑)月曜の夕方もこの状態であった。仕事も7時半には終わったので『腹減り三人衆』はJ地区B通り沿いにある夕方から早朝5時まで営業している某鉄板居酒屋へと向かったのである。

この某鉄板居酒屋にはこれまでにもこの『腹減り三人衆』は足を運んでいたのだがいつも定休日か臨時休業の日に当たってしまいなかなか入る事が叶わなかった。どうやら今回はその心配は無くお店の看板にも明かりが灯っているところからして開店しているようだ。店内は一階60席、二階50席で宴会も可能となっている。辺りにはお好み焼き特有の複雑な香りのソース臭が漂っていた。『腹減り三人衆』は店員さんに先導され一階のテーブル席へと着席した。
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テーブル席横の壁には五種類のソースが鎮座していた。

●当店自慢の「特製ソース」
関西風の甘めのソース。癖が無くて飽きがこない味。
●「おたふくソース」
お好み焼きの定番。広島焼用の甘いソース。
●「イカリソース」
本場大阪の味。やはり甘めでまろやかな味。
●「焼そばソース」
当店オリジナル焼そばソース。こちらも甘め。
●「どろソース」
関西のどこのお好み焼き屋に行ってもあるソース。ソース製造の際に下の方に溜まる一番濃いエキスを抽出したものでとろみが強く、とてもスパイシーな味。

伊蔵が気になったソースは『どろソース』。このソースは他のソースとは明らかに色が異なっており、ただならぬ“何か”を感じさせるソースに見えた。五つのソースを見て『腹減り三人衆』はソース談議に花が咲いていたがフト喉の渇きに気が付き、早速飲み物を注文して乾杯したのだった。う〜ん週始めの月曜の晩からビールを飲む行為は、普段家で酒を飲まない伊蔵にとっては珍しい事で何だかよく分からない優越感というものを覚えてしまうのだった。
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伊蔵はまずサッパリしたものが食べたくて『じゃこおろし』を注文した。暑いこの季節はこういうものがシンプルで美味しくてイイ。
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Eちゃんもサッパリ系の一品を注文していた。『焼き茄子の煮びたし』という品だ。本日からのこのお店でのおすすめ商品との事でEちゃんが一番最初に注文した人だと店員さんが教えてくれた。一方F部長はというと、こういったサッパリ系の一品料理を注文する前にすでに目標は『お好み焼き(イカ焼き)』方面に目が行っていた。まさに“Fまっしぐら”だ!!(笑)Eちゃんは『豚玉』、伊蔵は『豚・モチ・チーズ』入りのお好み焼きを注文した。
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こちらが伊蔵の注文した『豚・モチ・チーズ入りお好み焼き』の材料だ。う〜んこのままでも旨そうだ。早速この材料を万遍なくかき混ぜる。
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『鉄板』という名の大洋に瞬く間に『三つの大陸』が出来上がった。伊蔵のは具がかさ張るためか薄く延ばす事が困難であった。しかも火力の弱い端に広げた為、嫌な予感が頭をよぎる。
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う〜〜〜むぅ・・案の定なかなか焼き上がらんではないか!!ヘラで恐る恐るいじくっていたら伊蔵大陸に地殻変動が発生!亀裂が生じてしまった・・ヤバイッ!しばらくそのままにしておき、意を決して『テイッ!!』気合のもと大陸をひっくり返したのだが・・
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(;´д` )トホホ・・見事に大陸分裂・・・この後、F部長夫婦にここぞとばかりにけなされた伊蔵であった(笑)カタチは悪いが身体に入れば一緒なんである。美味しく食べれれば良い!と伊蔵は自分に言い聞かせ、先程の五種類のソースの中から『どろソース』を選択したっぷりとお好み焼きを浸した。F部長が同じ『どろソース』をかけて一足先に口に入れていた。次の瞬間!!

『結構辛いよこれ!・・・』

伊蔵も口に入れたがかなり辛いソースであった。二人ともドップリと『どろソース』をかけてしまったので、その辛さは尋常ではない。しかしこの辛さは食べれば食べる程に癖になる味で、特にビールにとても良く合うのである。う〜んこの様な美味しいソースが存在したとは知らなかった。
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伊蔵はビールは中ジョッキ二杯で済ませ焼酎方面へ。『明るい農村』という芋焼酎を注文した。この銘柄の焼酎があるのは知っていたが飲むのは初めてだ。
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◆『芋焼酎 明るい農村』
・鹿児島県/霧島町蒸留所
・原材料/芋
・アルコール度数/25度
黒麹菌と白麹菌の原酒をブレンド、コクとキレの良さを追求した焼酎。昔風味のやや辛口で食中酒としてよく合う。『焼酎は良き土に始まる。良き土は明るい農村にあり。』
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この『明るい農村』を飲み干した後に伊蔵が次に注文した焼酎は『大魔王』。“ハクション”は勿論だが付かない。この焼酎のツマミとして『チャンジャ』を付けた。このチャンジャの辛味と爽やかな焼酎の風味を味わいながら一緒に食べるのが伊蔵は好きなのだ。
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本日の〆は『焼そば』。この店の焼そばの麺は太麺。この太麺にトロッとした焼そばソースが程よく絡んで大変美味しい。
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その焼そばソースが熱く焼けた鉄板の上で蒸発するたびに何とも言えない香りが辺り一面を席巻し、膨れているはずの腹にも関らず否応無しに食欲というものが沸き起こって来るから不思議だ。我々三人は美味しくそれを平らげた訳である。

初めて訪れたお店であったがお客さんの人気も上々な様で店内は我々が帰る頃になってもお客さんで一杯だった。何よりも早朝5時まで営業しているというのが嬉しい限りである。

SYABU SYABU SATURDAY

今週も週末がやって来た。土曜日はかねてから会社の『F部長』との打ち合わせ通りある場所へ出掛ける事になっていた。それはある某お客さんの仕事で関った印刷物(チラシ)でのイベント内容を身を持って体験してみようという事である。イベントの内容は簡単にいうと、まずボウリングで3ゲームプレイし、スコアの下一桁または下二桁の数字よってしゃぶしゃぶの食べ放題の料理のコースの割引率が変化し、(最高半額割引)お得にしゃぶしゃぶが食べれるというイベントだ。

特に下二桁が『77』だとしゃぶしゃぶが50%OFF、つまり半額になる。食物が関るこのお得なイベントに『F部長』はただならぬ執念を持っていた(笑)F部長の命令で土曜日は早めに仕事を終了した我々。メンバーはF部長と奥さんのEちゃん、会社の同僚で先輩のKさんと伊蔵の四名だ!まず最初に緑区の大高にある某巨大ボウリング場へと我々は向かった。

ボウリング場が目の前に見えて来たがなかなかボウリング場に至る道が見つからず、あたふたしてしまった我々だったが何とか辿り着いた。駐車場は結構混んでいた。伊蔵が子供の頃はかなりのボウリングブームでいたるところにボウリング場があった。その後ブームはさびれてしまったのだが、近年またボウリングブームが再燃しているようである。伊蔵もボウリングをするのは久しぶりの事であった。

今回のボウリングはあくまでも高スコアが重要ではなく“いかにしゃぶしゃぶをお得に食べられるか”が最重要課題である。3ゲームある内の最も割引率の良いスコアが適応されるという決まりであった。1ゲーム目は久しぶりのボウリングという事もあって随分楽しんでしまった感じ。伊蔵は1ゲーム目の6投目だったか丁度にスコアが『77』が出てしまった。後から考えればここでわざと後の投球は全てガーターにすればよかった・・・。1ゲーム目でしゃぶしゃぶ半額を確保してあとの2ゲームを十分楽しめば良かったのに、ピンを倒す事に夢中になってしまった・・。全てのメンバーがこの調子であり2ゲーム目からは慎重に事を進める事に(笑)

2ゲーム目からの『F部長』のしゃぶしゃぶ半額割引へ向けての執念は凄まじく、あくまで目標を『77』に絞って投げていた。こういう時の『F部長』はまるで少年のようだ(笑)2ゲーム目の何投目かに『77』になるようにピンを倒し半額を確保してしまった『F部長』・・・『77』が出た後はわざとガーターにする『F部長』・・・全てはしゃぶしゃぶの為だ(笑)

同じレーンだったKさんと伊蔵は半額『77』を目指して投球していたが全てのゲームが終わってみたらKさんと伊蔵は同じ下一桁『5』の4割引止まりであった・・。何度も言うが1ゲーム目の『77』をそのまま確保しておけば良かった・・後悔先に立たずである。『F部長夫婦』は二人とも半額決定であった。非常に気にくわないKさんと伊蔵であった。

ボウリングで気持ちの良い汗をかき、腹も減ったところで早速某しゃぶしゃぶ店へ。ボウリング場からしゃぶしゃぶ店までは少しばかり離れているのでクルマで移動。着いてみるとなかなか落ち着いた純和風数寄家造りのお店であった。
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店内もなかなか落ち着いている。伊蔵達は座敷へと通された。綺麗な和室でテーブルにはガスコンロではなく電磁加熱式調理器(IH)が埋め込まれていた。しゃぶしゃぶ食べ放題は時間制限があり120分。飲み物は別途である。肉質によっても料金が異なっていたが『F部長』の一声で特上の牛肉のコースになった(笑)座敷内は少々冷房が効き過ぎていてボウリングを終えて汗をかいた身体には寒く感じられた。

最初に鉄鍋が運ばれその中になみなみと水が張られた。次にIH調理器のスイッチを入れ水を温める。思っていたより早い時間でお湯が沸いたのは少々感動した。
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そこへ運ばれて来た特上牛肉の一皿目!綺麗にサシが入っている牛肉を見て腹が減っていた我々は次々に湯に肉を投入したのだった。肉は非常に薄くスライスされていて結構沢山食べれそうだ。
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このお店では『ポン酢』『胡麻ダレ』『味噌ダレ』の三種類のオリジナルの付けダレを付けてしゃぶしゃぶ肉を楽しめる。伊蔵はしゃぶしゃぶといえば『胡麻ダレ』というくらい『胡麻ダレ』が好きだが、気になったのは『味噌ダレ』だった。これが意外にもヒット!とても美味しかった。赤味噌をベースにブレンドしているらしい。しゃぶしゃぶで味噌ダレというのは初めて味わったがなかなか合う。これら牛肉の他に野菜盛り、最後に御飯もしくはうどんが付く。我々はうどんを選択した。うどんはしゃぶしゃぶの残り湯で茹でた後、別に出されたカレー味の付け汁に付けて頂く。〆のデザートはやっぱり『抹茶アイス』にした伊蔵だった(笑)

結局最終的に同じ牛肉皿を四人で八皿平らげた。ボウリングをしてからだったので食い意地が張っていたらしい(笑)満腹満足のボウリング&しゃぶしゃぶであった。