2010-05

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小田原・箱根への旅/その7・大涌谷散策(1)

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早雲山駅から箱根ロープウェイで山を越えてきた伊蔵は『大涌谷駅』へと到着、一旦ここでロープウェイから降り大涌谷を歩いて巡ってみる事にした。伊蔵が大涌谷に訪れるのはこれで確か三度目になる。
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大涌谷駅の構内から外に出ると強風が吹き荒れていた。目の前には噴煙地のある冠ヶ岳(標高1409m)が見えるはずだが冠ヶ岳山頂は雲に覆われていて望めず、麓の噴煙地付近が見えるだけであった。
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しかしかなりの強風である。しかもかなり肌寒い。下界から薄着でここまでやって来たほとんどの観光客達はこの寒さにはさすがに参ってしまっているようであった。
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強風と一緒に硫黄の香りも運ばれてきた。これはいわゆる火山ガスの臭いで、ゆで玉子が腐敗したような、もしくは我々の体内で発生するガスすなわち“オナラ”のような臭いがこの谷には一面に充満しているのである(笑)。この場所で“すかしっ屁”をしても誰にも気付かれることはあるまい。大涌谷駅の階段を降りて噴煙地に向かう道を強風に煽られつつも歩いていく。この悪天候の中でも観光客の数は予想以上に多く、さすがに箱根有数の観光スポットである事を改めて思い知らされる。
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ここ大涌谷の名物はなんといっても“黒たまご”。噴煙地の一画にある白く濁った熱い酸性の熱泥の中にたまごを浸して茹でたものである。誰が言ったかこれを一個食べると7年、二個食べると14年寿命が延びるといわれている。延命長寿の黒たまごとして観光客には大変な人気だ。
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ちなみに黒いのはたまごの殻だけで中身は普通のゆでたまごである。またここには唯一ハローキティの黒たまごバージョンなんてのも売られている。この無理矢理感漂う組み合わせはなんともはや・・・という感じだが。
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大涌谷を訪れる外国人観光客が多いからか黒たまごの値段表示も日本語、英語、韓国語、中国語の四カ国語で表示されている。伊蔵も食べてみたかったのだがこの黒たまご、バラ売りはしていないのである。五個ワンセット(500円・食塩付)でしか販売してくれないのである。一人で五個の黒たまごを食べると蛇のようになってしまいそうなので今回は食べるのをあきらめた(笑)
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この黒たまごはロープウェイ駅近くの土産物売場でも販売しているが、もっと上の噴煙地のすぐ際にある『黒玉子茶屋』でも販売されている。麓の土産物売場と噴煙地の『黒玉子茶屋』との間には“黒たまご運搬専用”の小さなロープウェイが設置されており、麓から上の噴煙地へ運ばれた真っ白な殻のたまごは酸性熱泥で真っ黒なゆでたまごに変化した後、再び麓の売店へとこのロープウェイを伝って運ばれるのである。この件についてはまた後ほど話そう。
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売店前をさらに先へと進むと上の噴煙地へと続く登り口の表示が見えて来た。この看板からさらに300m程遊歩道を登っていくと噴煙地に至る。登り口には火山ガスについての注意看板もあった。
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※亜硫酸ガスは呼吸器に対し強い刺激作用を持ち、これを吸うことにより生命に関わることがあります。
※硫化水素ガスは、目と呼吸器の刺激作用が強く結膜炎や咳込みが長く続く恐れがあります・・・・等々。

喘息持ちの人や気管支の弱い人、心臓の悪い人、虚弱体質、体調不良、酒気帯びの人は入場を禁止されている。幸い今日は伊蔵も酒気帯びではない(笑)。これらの注意書きが日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語で書かれていた。こうした有害な火山ガスが吹き出している場所なので、健康体な人でもあまり長時間噴煙地に立ち止まるのはやはり身体に良くないらしい。
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注意書きの看板を一通り読んでから伊蔵は噴煙地へと続く遊歩道を他の観光客と一緒に登り始めたのであった。<つづく>


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小田原・箱根への旅/その6・強羅~大涌谷

箱根登山鉄道の終着駅スイスの山小屋風の『強羅駅』に辿り着いた伊蔵。ここからは箱根登山ケーブルカーに乗り、早雲山、大涌谷方面へと向かう事になるのだがケーブルカーに乗る為の乗り換え改札は観光客の長蛇の列・・・。
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すぐにこの行列に並ぶのもなんなのでしばしの間、強羅駅前をうろついてみる事に。強羅駅前には数店の土産物屋や商店などが建ち並んでいた。
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その一軒の土産物屋の軒先で気持ち良さげに昼寝をしている犬を見つけた。箱根のヨーゼフだ(笑)。大勢の観光客が軒先を歩いているのに何という無防備なこの姿。野性の野の字も感じられないその寝姿、大胆不敵さがかえってほほえましい。伊蔵だけでなく他の観光客も笑みを浮かべつつその寝姿を見入っていた。駅前をざっと歩いて回り、強羅駅の駅舎へと戻ってみるとケーブルカー乗り換えを待つ観光客の列が先程よりも長くなっていた。いかんいかん・・・早速伊蔵も列の最後尾に並ぶ。
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箱根登山鉄道ケーブルカーは、ここ強羅駅(標高553m)と早雲山駅(標高767m)の約1.2km、標高差214mを一直線で所要時間約10分で結ぶ。停車駅は全部で六つあるが行楽シーズンなど多くの観光客が詰めかけた際には始発駅から終着駅間をノンストップで走る臨時便を運行する事もある。伊蔵が来たこの日も案の定、このノンストップ臨時便が仕立てられた。
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しばらく行列に並んでやっとのこと箱根登山鉄道ケーブルカーの強羅駅ホームの近くまでやって来ると山のはるか先まで延びる傾斜角度のキツい一直線のレールが見えた。ケーブルカーはまだ上の方にいるらしくなかなか下へはやって来なかった。山の方角の雲行きが怪しい・・・。箱根山山頂付近の天候が荒れているという登山鉄道のアナウンスがまた頭の中をよぎった。強羅駅でもこの悪天候の件についてのアナウンスがあり、依然として芦ノ湖を遊覧できる『芦ノ湖海賊船』は運休しているらしかった。う~む何とか好転してくれないものか。山の天候は実に不安定である。
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やがてゆっくりとしたスピードでケーブルカーが山の方から下ってきた。箱根山方面からの観光客も多い。次々と強羅駅ホームに観光客が吐き出されてくる。そしてホームで待っていた伊蔵をはじめとする観光客も先を争うようにケーブルカーへと乗り込んだ。箱根登山鉄道ケーブルカーの車両はかなり洗練されたデザインで比較的新しいようであった。これは『ケ100形・ケ200形』という車両で1995年に投入されたスイス製の車両なのだという。ははぁなるほどそれっぽい雰囲気だわ。ケーブルカーは強羅駅での観光客を乗せると“箱根八里”の発車メロディとともにゆっくりと山の斜面を登り始めた。

伊蔵がケーブルカーに乗るのは何年振りの事だろうか。確か前に乗った記憶があるのは京都の比叡山にあるケーブルカーに乗って以来のことかもしれない。とにかく久しぶりだ。かなりの斜度をもってゆっくりとケーブルカーは登る。路線脇には人が歩ける細い路地が見えたが歩いて登るにはかなりキツそうな坂道のようだ。途中には強羅公園などの観光スポットもあり駅も設置されている。ケーブルカーは約10分程でこの急斜面を登りきり『早雲山駅』へと到着した。早雲山駅ホームから今登ってきた斜面を眺めると出発した強羅駅ははるかかなたに点のようにしか見えなかった。

この早雲山駅からは『箱根ロープウェイ』に乗り換える事になる。このロープウェイを使えば大涌谷を経由して芦ノ湖の北岸の地“湖尻”へとそのまま辿り着く事が可能なのである。早速早雲山駅改札を抜けて箱根ロープウェイの乗り場へと急ぐ。この箱根ロープウェイは早雲山と大涌谷、姥子、桃源台の各駅を結ぶ全長4kmに渡る長大なロープウェイで箱根観光の目玉にもなっている。当然利用客は多いのだが、この箱根ロープウェイの人員輸送能力は素晴らしく世界で最も利用客が多いロープウェイとしてギネスブックに載っているほどである。
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ロープウェイ乗り場に辿り着くとかなりの観光客の数に少々驚いてしまった。と同時に待ち時間はどれほどになるのだろうか・・という不安も浮かんできたがそれは杞憂に終わった。ロープウェイのゴンドラは間髪を置かずに次々と乗り場に流れるようにやって来ては一度に多くの観光客を飲み込んでは去っていく。まるでスキー場のリフトのような感じであった。またゴンドラ一つの乗車定員は18人と多いので長い行列に並んでいてもどんどん先へとスムーズに流れていくのでイライラせずにすむ。
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またこのゴンドラは構造上かなりの風圧に耐える事が出来るようで滅多に運休する事がない。伊蔵が訪れた今日もかなり風が強いようだったが問題なくゴンドラは稼働していた。10分も待つことなく伊蔵はロープウェイに乗り込む事ができた。ゴンドラの定員に達すると係員が扉を閉めてくれる。グラリ・・とわずかに揺れてゴンドラは動き始めた。
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早雲山駅を出発したゴンドラは大涌谷を目指すがその前にひとつ、山の尾根を越える為に急斜面をどんどんと高度を上げていく。今回の箱根巡りは少々紅葉シーズンには早い気がしたが、さすがにこのあたりの標高ともなると山の木々もうっすらと色付き染まってきている。
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ゴンドラはほぼ四方がガラス張りなのでスリリングな事この上ない。後方を眺めてみると箱根山の外輪山等の眺望が素晴らしかった。伊蔵と一緒に乗り合わせた観光客は一様にこの景色に感動していてデジカメを手にしては撮影しまくっていた(笑)やがて・・・山の尾根が前方に迫ってきた。尾根の上にはゴンドラを運んでいるロープを支える鉄塔が建っているのが見えるのみでその向こう側はこちらからは見えない。果たしてそこにはどのような光景が広がっているのだろうか・・・。

そして伊蔵を運ぶゴンドラが尾根を越えたと思った瞬間!ゴンドラ全体がいきなり前面からのの突風の直撃をを受けたのであった。やはり早雲山駅側からロープウェイを利用した場合のこの“尾根越え”が箱根ロープウェイの一番のハイライトである事は間違いない。

◆箱根ロープウェイの尾根越え/YouTubeより
http://www.youtube.com/watch?v=k3JHfDfbJM0&feature=related

強風によりゴンドラがかなり揺れた為、同乗していた観光客から思わずどよめきの声が漏れた。しかしそのどよめきは一瞬で収まった。すぐに我々乗客は眼前に広がる荒涼とした光景に目を奪われ息を飲んだのであった。
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それはまさに“地獄”の風景そのままであった。これが箱根の数ある名所の中でも有名な『大涌谷(おおわくだに)』である。箱根火山は約40~50万年前に活動を開始したとされ、現在でも火山活動が盛んな箱根の心臓部がまさにここなのだ。所々に硫黄や噴煙が散見出来る。その噴煙には亜硫酸ガスや硫化水素ガス、いわゆる火山ガスが含まれ周りには草木も生えず、岩肌が剥き出しになっており、土砂が崩落するのを防ぐため砂防壁のようなものが築かれている。さながら仮面ライダーとショッカーの皆さんが戦う採石場のような光景がそこには広がっていた。
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このような凄まじい光景からかつてこの場所は“地獄谷”と呼ばれていたらしい。現在でも火山活動が活発なこの地域は約3000年前に起きた大規模な水蒸気爆発とそれに伴う山崩れや火砕流によって形成された景観である。大規模な山崩れは箱根を流れていた早川の流れを堰き止めてしまった。その水が貯まった場所に出来たカルデラ湖が現在の『芦ノ湖』なのである。
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殺伐とした景観を眼下、眼前に眺めながら伊蔵を乗せたゴンドラは地獄の空中を行くように進んでいった。大きな谷の向こう側の小高い山の山頂に箱根ロープウェイの『大涌谷駅』が見えてきた。何度も駅構内でアナウンスされていた通り、雨は降ってはいないものの曇り空と強風が箱根山を覆っているようだ。『大涌谷駅』にて伊蔵は一旦ロープウェイを降り、大涌谷を巡ることにする。<つづく>


小田原・箱根への旅/その5・終着駅『強羅駅』まで

『塔ノ沢駅』を発車すると電車はまたすぐにトンネルへと入る事に。全くこの路線はトンネルの数が多い。これは箱根の自然の美観を極力損なわない為の工夫なのだという。暗く狭いトンネル内を電車はゆっくりと進む。前方に明かりが見えてきた。
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徐々にその明かりが大きくなり、トンネル出口付近に頑丈そうな緑色の構造物が見えてきた。これが早川に架かる鉄橋『早川橋梁』である。観光ガイド等、一般には“出山の鉄橋”として広く知られており、“かながわの橋100選”にも選ばれ登録有形文化財にも指定されている。
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鉄橋の下を流れる早川に橋脚は無く、まさに山と山を直接繋ぐといった景観でまるで空中の架け橋の様な感がある。構造形式としては単純下路ダブルワーレントラス式鉄道橋といわれるもので構造的にはかなり頑丈なものだという。橋の長さは61.0m、下を流れる早川の水面から43mもの高さの位置に架けられている。元々この橋梁は東海道本線の天竜川に架けられていたもののひとつであり転用されたものらしい。

深い谷に架橋する工事は難航を極めた。川底から橋を設置する高さまでそれこそV字型の谷全部を覆うように木製の丸太足場を複雑に組んで作業をし、やっと完成させたという。そんな苦労があった歴史を感じさせないくらいに現在の“出山の鉄橋”は箱根の大自然に溶け混んでしまっている。燃え盛る紅葉の山の中、この鉄橋を渡る登山電車が走る様というのは実に絵になる。

乗客サービスの為に電車は鉄橋上で最徐行運転をして深い谷の景観を見させてくれる。もう少し長い時間を掛けて景色を楽しめるようだといいのだが、眼下を流れる早川の流れと国道1号線を跨いでまたすぐに暗いトンネルへ電車は入ってしまったのであった・・・。
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出山の鉄橋を渡り終えてトンネルに入る。トンネル内で電車は大きく左カーブの進路をとり、更に高度を上げていく。この急斜面のトンネルを出た先が最初のスイッチバックを行う『出山信号場』(標高234m)である。この信号場で電車の進行方向が逆向きになる為、伊蔵が今乗り込んでいる先頭車両が最後部の車両となる。

ゆっくりと出山信号場に入線した電車はしばしの間停車し、上からやって来る電車を待つ。その間、運転士と車掌の二人の乗務員が車両を入れ替わる。出山信号所では乗客は乗降する事が出来ない。運転士と車掌のみが電車のすぐ横に設置されている幅の狭いホームのような通路を使って車両を入れ替わるのである。
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停車する電車の車窓から先程渡ってきた出山の鉄橋が遠く眼下に望める。かなり下に見えるのでそれだけトンネル内で急勾配の坂を左に回り込んで電車は走って来たという事である。出山信号場のすぐ直下には国道1号線が走っているはずだがこれは見る事が出来なかった。

しばらくの停車の後、電車はまた走り始めた。いきなりまた80パーミルの急勾配を登り始める。沿線の景色は森とトンネルばかり(笑)。でもこれが結構楽しい。次の停車駅『大平台駅』(標高349m)で電車は二度目のスイッチバックを行った。またまた伊蔵の乗る車両が先頭車両となり、運転士と車掌が入れ替わる。結構箱根登山鉄道の乗務員は忙しいのだ。特に電車が時間に追われている場合、運転士と車掌の交代劇はなかなりの慌てぶりで行われ見ているとスリリングで面白い(笑)。

温泉街の中の駅『大平台駅』で二度目のスイッチバックを行った後、電車はまたすぐに『上大平台信号場』(標高359m)で三度目、最後のスイッチバックを行う。伊蔵の乗る車両は再び最後尾となった。ここから先、路線は急カーブの連続となりカーブを曲がる度に車輪が軋む音が聞こえてくる。

その後も山の斜面を縫うように電車はゆっくりと進み、和洋折衷の建築で有名な『富士屋ホテル』のある宮ノ下温泉街の『宮ノ下駅』(標高448m)、伊蔵が中学生時代に修学旅行で箱根を訪れた際に宿泊した『小涌園』のある『小涌谷駅』(標高535m)、箱根の観光スポットともなっている『彫刻の森美術館』がある『彫刻の森駅』(標高551m)と順調にどんどんと高度を上げていく。
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やがて電車は終着駅の『強羅駅』(標高553m)に到着した。スイス風の山小屋をイメージした駅舎は登山電車の終着駅としてなかなかふさわしい。他の観光客とともに伊蔵は強羅駅改札を抜けて駅舎内へ。箱根登山鉄道と姉妹鉄道として友好関係を築いているスイスの『レーティッシュ鉄道』から贈られたというカウベルが駅舎には飾られていた。
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ここまでわずかの乗車時間ではあったものの、想像以上に箱根登山鉄道は面白いものであった。また箱根に来る機会があれば是非乗ってみたいと思う。終着駅強羅から先は『箱根登山鋼索線(ケーブルカー)』に乗り換え、さらに標高が高い『早雲山駅』(標高767m)を目指す事になる。しかしケーブルカー乗り換えの改札口前は観光客の行列が出来ていた・・・。<つづく>

◆YouTubeより/箱根登山鉄道 (解説付でなかなか楽しめます)
http://www.youtube.com/watch?v=WbfP8fjkFnE





小田原・箱根への旅/その4・箱根登山鉄道乗車

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箱根湯本駅ホームで伊蔵は箱根登山鉄道の車両の到着を待っていた。しばらくすると3両編成の赤いマッチ箱のような小さな列車が山の方からホームへとゆっくり滑り込んで来た。おお!なるほどこれが登山電車か。思っていた通りかなり小さい車両だ。小さくなければこの山坂道はとても登れないのだろう。箱根登山鉄道で使用されている車両にはいくつかの種類があるがこれは結構古い型の車両で『モハ2形108』(昭和31年製造)というもの。乗るなら昔ながらの古い車両に乗ってみたいと伊蔵は考えていたのでちょうど良かった。

小さな車両には箱根山方面からのお客さんがびっしりと寿司詰めの状態で押し込められていた。山の上も観光客でかなり混んでいるらしい。扉が開きワッと一気に客がホームに吐き出されてくる。うへぇ~タマラン混雑だわこれは・・・。入れ替わりにホームで待っていた我々が車両内へ。
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伊蔵は先頭車両の運転席のそばに立つ事になった。この電車は座っているよりも先頭車両もしくは最後尾の車両の運転席そばで立っていた方が、よりこの登山電車を楽しむ事が出来るのである。
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日本で唯一の本格的登山電車として知られているこの箱根登山鉄道は1919年大正9年に開通した。路線総延長は8.9km(小田原駅を起点とすると15.0km)で箱根湯本駅(標高108m)と強羅(ごうら)駅(標高553m)間を約40分弱で結ぶ。前述二つの駅の標高差は445mもある。日本の鉄道の中でも最も急な勾配を登る鉄道であり、その路線中最高の勾配は実に80パーミル(1km進むと80mの標高を登る勾配)となっている。

文字で表すとこの勾配はあまり実感できないがこれは実際電車が走るにはかなりの急勾配である。例えばこの勾配を三両編成(箱根登山鉄道の車両は一両の全長が15m程)の電車で登っている場合、先頭車両の一番前の位置と、最後尾車両の最も後ろの位置では約1mの高低差が出来る程の勾配なのである。
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これだけの山の急斜面を登る為、箱根登山鉄道はその路線上の二カ所に設置されている信号場と大平台駅の三ケ所で三度の“スイッチバック”を行う。つまり車両の進行方向を三度変え、大まかにいえば階段を上がる様にジグザグに山を登って行き高度を稼いでいくのだ。三カ所の信号場はいわば階段の“踊り場”に相当するといえよう。真っ直ぐにレールを敷設したのではこの箱根の山の急斜面は電車では登り切る事が不可能なのである。

また車両自体にも様々な独自の工夫がされている。ブレーキには普通のブレーキに加えて車両が急斜面で停車中に後ろへ転がっていかないようレール自体に圧着可能な安全ブレーキが備わっていていたり、路線上いくつもある急カーブ(最大で30Rの急カーブ・曲線半径30m)を曲がる際にレールと車輪との間に発生する摩擦熱、または双方の磨耗を防ぐ為に散水タンクが装着されており、レールに水を撒きながら進めるようになっている。

◆箱根登山鉄道ホームページ
http://www.hakone-tozan.co.jp/whats/train_tokusyoku.html

小さいながらも登山列車の機能はバッチリ備えたマッチ箱のような可愛いくも性能的には逞しい電車は定刻時間に箱根湯本駅をゆっくりと発車したのだった。ゆっくり発車したがその後も実にゆっくりだった(笑)。運転席を覗き混んで列車の速度計を見てみたが時速30km弱で走っていた。原チャリ並のスピードである。

しかしながら沿線の景色はとても良い。まるで緑のトンネルの中を行くようである。紅葉の時期には少し早かったこの旅だったがシーズンともなればさぞかし車窓からの光景は美しかろう。

おっと!書き忘れるところだったが、電車に乗り込んだ際に気になるアナウンスが流れたのだ。箱根山山頂付近の天候の状態が非常に不安定で現在芦ノ湖付近は強風が吹き荒れており、芦ノ湖を遊覧することの出来る『箱根海賊船』が現在運休しているという・・・。下界は結構いい天気なのに・・・やはり小田原市内から箱根方面を眺めた時に山の上が曇っていたのをすでに見て知っていた伊蔵はこれは悪い予感が的中したと思わざるを得なかった。

今回の伊蔵の箱根周遊のコースにもこの箱根海賊船の遊覧は入っていたのでこのアナウンスにはがっかりさせられたが、とにかく上まで行ってみなければ分からない。とにかく登ってみようと思ったのだった。

ガタン・・ゴトン・・ガタン・・ゴトン・・・

電車は実にゆっくりと進みつつ標高を上げていく。車窓を見ていると車両自体が斜めになっているのが顕著に分かるのだ。沿線上にはトンネルも多い。運転席から前方を眺めると、木漏れ陽が指す鮮やかな緑の向こうにポッカリと開いた古い時代に造られたであろう石積み造りのトンネルが姿を現す。その暗いトンネルの中を列車はゆっくりと進む。何というか・・・この雰囲気は非常に良いのだ。

列車はトンネルとトンネルに挟まれた形で設置された最初の停車駅『塔ノ沢駅』で停車し更に先へとゆっくりとしたスピードで進む。この先に箱根登山鉄道の見所のひとつである“出山の鉄橋(早川橋梁)”を渡ることになる。<つづく>


小田原・箱根への旅/その3・小田原~箱根湯本まで

箱根をくまなく巡るにあたり伊蔵はある周遊チケットを手に入れる為、小田原駅前ロータリーから再び駅構内へと戻った。小田急線の改札口付近のコインロッカーに大きな荷物は預ける事にした。宿は小田原市内にすでに予約してあるので箱根見物から戻ってきてから荷物は引き取りにこればよい。
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さすがに観光地箱根のお膝元といった感じで、朝早くから観光客の姿が多く小田原駅構内はごったがえしていた。伊蔵が先程から手に入れようと考えている周遊チケットというのは『箱根フリーパス』というもの。小田急電鉄の主要駅で購入が可能な割引周遊券である。
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箱根山という場所はそれこそ全山が観光地のようなところで日本のみならず世界的にも有名な保養地・観光スポットとなっている。その険しさから“天下の瞼”と謳われ、また古くから温泉地と知られていた。旧東海道でも江戸を守る重要な場所として幕府はここに関所を置いた事もご存じの通りだ。こうした箱根山の各所にある観光地を結ぶように公共交通機関も非常に発達していて、わざわざマイカーを走らせなくても効率良く十分見て回れるほど便利になっているのだ。
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こうした公共交通機関を使ってお得に箱根観光が出来るのが『箱根フリーパス』である。二日間有効のものと三日間有効のものが用意されている。有効期間中は箱根山中の交通機関のほとんどがこの割引周遊券一枚で乗車可能なのである。早速伊蔵は小田急の窓口でこの周遊券を購入する事にした。二日間有効券で大人一人3,900円。これで箱根全山の交通機関に乗り放題ならば随分お得だ。周遊券購入後、小田急線の改札を抜けてホームへと降りた。まずは小田原駅から箱根の玄関口である箱根湯本駅まで移動だ。

今回の箱根の旅で一番楽しみにしていたのは『箱根登山電車』に乗る事だった。伊蔵は今までに何度か箱根を観光で訪れているのだが、この『箱根登山電車』には一度も乗った経験が無かったのである。中学生時代はバスでの修学旅行だったし、それ以後は自転車やバイクで走破する事があったのみ。これまでの箱根観光では公共交通機関を使っていなかったのだった。常々この『箱根登山電車』には乗りたいと考えていた。今回それがやっと実現する運びとなった。

以前は小田原駅から箱根湯本駅まで小田急線と箱根登山列車は同じレールを共有していた(但し小田急の車両と登山電車の車両とでは軌道幅が異なる為、この区間は「三線軌条」といって三本レールになっていた)様だが、現在は小田急線のみの車両がこの区間を走っているようだ。早速車両に乗り込む。幸い座席には何とか腰掛ける事が出来た。

発車の時刻がやってきて列車は小田原駅を出発した。小田原の市街地を眺めながら進む。箱根板橋駅~風祭駅~入生田駅の順で各駅で停車していく。国道1号線と早川に平行する形で列車は進んで行くが車窓の風景を眺めているだけでも徐々に標高を上げていくのが目に見えて分かる。箱根は東海道最大の難所であり険しい山道なのである。
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しばらく列車の揺れに身を任せていると前方にカマボコ状の屋根が特徴的な駅が姿を現した。箱根湯本駅である。この駅でいよいよ箱根登山電車に乗り換えとなる。
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箱根湯本駅は観光客でかなり混雑していた。登山電車を待つ人々もかなり多くすでに乗降場所位置には長い行列が出来ていた。これはどうやら電車に乗っても座れる確率は少ないだろう。
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箱根湯本駅のホームには小田急線車両として伊蔵が真っ先に思い浮かべる『ロマンスカー』が停車していた。現在小田急電鉄で使用されているロマンスカーの中では最古参の「7000系LSE」という車両だ。伊蔵の地元の名古屋鉄道ではつい最近までこの車両と似た『パノラマカー』が走っていただけに何だか感慨深い。ロマンスカーはすでに新しい型の車両がいくつも存在する為、この旧型のロマンスカーもいずれは引退する運命になる事だろう。

さて箱根湯本駅にはまだ乗り込むはずの箱根登山電車の車両は入って来てはいなかった。乗り込もうとする観光客の行列がホーム上に出来ているだけ。しばし伊蔵は登山電車の到着をホームで待つ事になった。<つづく>


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プロフィール

伊蔵

Author:伊蔵
伊蔵と申します。
幻の焼酎から名を頂きました。
お酒・一人旅・自転車・麺類好き・歴史・読書・雑学・ネット・路地裏散策・廃道・街道・地図マニア。血液型:B型

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