2010-06

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小田原・箱根への旅/その11・箱根海賊船(2)

伊蔵は『桃源台港』に突如姿を現わした黒い海賊船『ビクトリー号』へと乗船する事になった。ビクトリー号は一旦桟橋へと接岸した後、箱根町から乗船して来た多くの観光客を観光船の関係者の誘導によって桟橋へと降ろした。その後、伊蔵ら桃源台港からの乗船客をその巨体内へと飲み込んだ。

この箱根海賊船の航路は芦ノ湖の南端の『箱根町』を経由して『元箱根』までを約40分ほどで結んでいるが今日は悪天候という事もあって『箱根町』止まりでの運行になるらしかった。約30分の船旅である。
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箱根海賊船『ビクトリー号』は外観こそ古き良き英国の往年の帆船戦艦の姿を模してかなり凝った作りで造られているがその内部は観光船らしく利便性に富んだ造りがされていた。綺麗な船室の窓から外の芦ノ湖の風景を眺めるのも風流だがこれはあくまで海賊船である。伊蔵は三階デッキ上の後部艦橋、眺めの一番良い場所に立って外の景色を眺めて行く事にした。外は相変わらず強風が吹き荒れてはいるものの観光客はそんな事もお構い無しにデッキに群がっていた。
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やがて『ビクトリー号』は静かに桃源台港を出航。滑る様に湖面を進み始めた。晴れていればどれだけ綺麗な景色が拝めたであろう。残念ながら空は鉛色の薄雲に覆われて陽の光もほんのわずかしか湖面を照らしてくれてはいない。しかしながら海賊船が運休にならずに本当に良かった。

西側に箱根外輪山、東側に内輪山を望みつつ船は南へ向かった。強風に煽られ目を細めながらの船旅だったが結構これはこれで楽しい。荒波の中を航海する海賊船っぽくてなかなか臨場感があり面白かった。
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芦ノ湖湖岸は山肌が湖のすぐ際まで張り出しており山肌の木々は紅葉していてとても綺麗だった。この紅葉をデジカメで撮影する観光客は多かった。やがて内輪山方面に箱根駒ヶ岳が見えて来た。
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この山は麓から山頂付近までロープウェイが設置されていてこの場所も箱根観光の名所になっている。麓には西武グループが経営する『箱根園』という観光地があり、先程紹介したロープウェイの駅をはじめ、ホテルや水族館やショッピングモールなど集まっている。
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前方に『箱根町』の町並が見えて来た。30分の船旅はあっという間だ。場所的には国道1号線のすぐ際にあって箱根峠(標高846m)の直下にある集落で、あの名高い“箱根駅伝”の往路のゴール地点として知られている。
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船上から箱根町の上に位置するであろう箱根峠を眺めながらあの山の向こう側で横浜で開催予定のOFF会にホンダスーパーカブ90カスタムで向かっていた友人のtakeさんはコケたのだなぁ~としみじみ思い出す伊蔵であった。takeさんが峠を越えて辿り着く事が出来なかったこの箱根の町をしっかりと見てこなければ・・という使命感に新たに身を燃やすのであった(笑)。<つづく>



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小田原・箱根への旅/その10・箱根海賊船(1)

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伊蔵は箱根ロープウェイの『桃源台駅』へと降り立ち、芦ノ湖遊覧を楽しむ為に『箱根海賊船』乗り場へと急いだ。悪天候の為この海賊船がいまだに運休しているのかどうかが目下の一番の心配だった。
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海賊船のチケット売場兼乗り場に辿り着くと観光客の数はまばらであった。『これはまだ運休中かもしれない・・・』と思ったが他の観光客が海賊船の関係者に問い合わせているのを小耳をそばだてて聞いてみた所、約一時間後位に天候如何によっては出航を予定しているという。伊蔵はしばらくこの乗り場で出航を待ってみる事にした。

もし海賊船が運休という事であればこの『桃源台港』から芦ノ湖湖畔をバスに乗って箱根町まで行かねばならないだろう。これは何としても避けたかった。せっかく箱根に来たのなら芦ノ湖は船にて渡ってみたい。船を待つ間、伊蔵は乗り場の外へ出て芦ノ湖の湖畔に出てみた。
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湖畔の桟橋には一隻の華麗な赤い海賊船が碇泊していた。
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伊蔵の心の中ではこの海賊船は“クイーンエメラルダス号”である(笑)。この豪華な海賊船ホントの名は『ロワイヤル号』という。17世紀のフランスの帆船戦艦をモデルとしている超豪華な外観の船である。全長37.55m・全幅10m・総トン数315トン、速力10.50ノット、機関700馬力で650名定員の観光船である。伊蔵もこの船に乗って芦ノ湖を渡る事になるのだろうか・・・。

芦ノ湖には強風によって白いさざ波が立っている。何とかこれ以上天候が悪くならないように祈るのみであった。時刻はお昼を三十分ばかり過ぎていたが伊蔵は食事を摂る事無く湖畔でタバコを吸いつつゆっくりと過ごした。やがて出航予定時刻三十分前になると観光客達が乗り場の待合室に列を成し始めたので伊蔵もその列に加わる事にした。

外の風はますます強くなって来ている様で桟橋へ出る出入口の戸がバンバン・・・と音を立てているのが聞こえてくる。海賊船関係者達はひっきりなしに湖畔の外の様子や箱根町方面の港との天候状況の報告等のやり取りに謀殺されている感じだった。出航予定時刻間近になると待合室に並ぶ観光客の数はかなり増えていた。ここまで待たせて運休という事になれば観光客からのブーイングが出るに違いない・・・。

そういう心配は無かった。出航10分程前に桟橋への扉が開かれチケットの検札が始まった。伊蔵は箱根フリーパスを手に検札を終えて他の観光客とともに強風吹きすさぶ芦ノ湖湖畔の桟橋へと足を進めた。てっきり先程目にした『クイーンエメラルダス号(ロワイヤル号)』へと乗船すると思っていたのだがどうやらそうではないようだった。しばし桟橋で待っているとはるか彼方の芦ノ湖湖上を一隻の黒い帆船がこちらに向かってやって来るではないか!
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それは『アルカディア号』であった(笑)。あくまで伊蔵の心の中での船の名である。ホントの名は『ビクトリー号』という。芦ノ湖海賊船は三隻の帆船風の観光船が存在するがその中でも(ロワイヤル号・バーサ号・ビクトリー号の三隻)この『ビクトリー号』は最も新しい船で平成19年3月に就航した。全長35m・全幅10m・総トン数282トン、速力10.50ノットを誇る。船の大きさは碇泊中の『ロワイヤル号』よりわずかばかり小さいがその機関は強力であり、591馬力の高速ディーゼルエンジン二基を搭載し500名の観光客を運ぶことが可能である。

この観光船は18世紀に造られ数々の世界の海戦で活躍したという英国戦艦『ビクトリー号』をモデルにした船である。100門以上の大砲を搭載した強力な戦艦で本物のビクトリー号は現在もイングランド南方の港町ポーツマスで記念艦として現存し保存されている。
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アルカディア号こと『ビクトリー号』はその黒い巨体を桃源台港桟橋へとゆっくりと接岸させた。どうやら伊蔵を箱根町へと芦ノ湖の上を運んでくれる船はこのアルカディア号(ビクトリー号)らしかった。<つづく>

◆箱根海賊船/船の図鑑・ビクトリー号建造について
http://www.hakone-kankosen.co.jp/zukan/intro.html





小田原・箱根への旅/その9・芦ノ湖へ

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伊蔵は箱根の大涌谷噴煙地を見て回った後、再び箱根ロープウェイの『大涌谷駅』へと戻った。ここから再度ロープウェイを乗り継ぎ、芦ノ湖を目指す事にする。
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標高1040mの大涌谷駅から芦ノ湖までは途中『姥子駅(うばこえき)』(標高878m)を経由して『桃源台駅(とうげんだいえき)』(標高741m)まで向かう。芦ノ湖までは大涌谷駅から約16分程山の斜面を降れば着く。途中ロープウェイの窓から外の風景を眺めると山の木々がうっすらと色付いていてとても綺麗だった。ただ相変わらず曇り空の悪天候と濃霧は晴れる事がない。やがて進行方向に目指す芦ノ湖が見えて来た。
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『芦ノ湖(あしのこ)』は神奈川県下最大の湖で箱根山の火山活動によって造り出されたいわゆる火山湖(カルデラ湖)である。箱根の地形の特徴である外輪山と内輪山に囲まれたちょうど中間部の弓状の窪みに水が溜った形の湖で水面の標高は723m、水深は43.5m。その水のほとんどが湖底からの湧水だという。箱根を代表する景勝地であるとともに釣り場(とくにバスフィッシング)としても知られている。

この湖についてちょっと変わっているのはその水利権であろう。『芦ノ湖』自体は神奈川県にあるのだが、その湖水を使用する権利『水利権』を有しているのは実はお隣の静岡県なのである。これはなぜなのか?話は江戸時代初期にまで遡る。
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芦ノ湖の西側地域、箱根外輪山の西側(現在の静岡県裾野市付近)は富士山の火山灰を含む地質が広く堆積しており非常に“水もち”が悪く、農作物を育てるには適した場所ではなかった。この慢性的な水不足により農民達の困窮を見るに見かねた駿河国深良村(ふからむら)の名主『大庭源之丞(おおば げんのじょう)』は芦ノ湖の水を箱根外輪山をぶち抜くトンネルを掘り、これを灌漑用水として深良村まで通し利用する事を考えたのであった。
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大庭は江戸商人『友野与右衛門(ともの よえもん)』の資金援助を受け、芦ノ湖の水を管理していた箱根権現社と地元小田原藩、そして江戸幕府の許可を得て1666年(寛文6年)に工事を着工、芦ノ湖側、裾野側両方から掘り始められた。総工費7300両余り、工事に携わった人数延べ834,000人。幾多の困難や想像を絶する難工事の末、四年後の1670年(寛文10年)にこの灌漑用トンネルは完成した。そのトンネルの全長は実に1280mにもなる。

当時は現在の様なトンネル掘削重機などは勿論無い。全て手作業で掘り上げたトンネルである。両側から掘り進めたトンネルの貫通地点での誤差はわずか1m程度であったというからその当時の測量土木技術の水準の高さには目を見張るものがある。この灌漑用水は現在でも使用されており『箱根用水』または『深良用水』の名で知られている。

◆水土の礎より/トンネル水路、箱根(深良)用水
http://suido-ishizue.jp/daichi/part3/01/07.html
◆深良用水隧道に入る
(許可を得てトンネル内を歩いた方の記録。面白いです。)
http://kodou.lolipop.jp/hukara.htm

トンネル貫通当時は箱根地区と箱根外輪山の西側の深良村は同じ小田原藩領であったが、明治に入ってからの廃藩置県によって箱根外輪山山頂付近(湖尻峠)が県境になってしまい、両地区は神奈川県と静岡県に別れてしまった。これによって芦ノ湖の水利権を巡って争いが起きたが結局は裁判により静岡県に水利権があるという事に落ち着き、現在まで至っている。

伊蔵を乗せた箱根ロープウェイは芦ノ湖湖畔の『桃源台駅』へと到着した。この桃源台駅はロープウェイの駅と芦ノ湖海賊船の発着施設を兼ねている。ロープウェイの駅から湖畔へと下る形で海賊船乗り場へと進む。芦ノ湖の湖面は強風の影響で白いさざ波が目視出来た。果たして芦ノ湖海賊船(遊覧船)はいまだ悪天候の影響で運休しているのだろうか?。心配ながらも伊蔵は乗り場へと急いだのだった。<つづく>

小田原・箱根への旅/その8・大涌谷散策(2)

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伊蔵は大涌谷噴煙地へと続く遊歩道を歩いて山の斜面を観光客の行列に交じって進んでいた。
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遊歩道の道々には細々とした川が流れている様な所があるがその川はいわば温泉のお湯がそのまま流れているといってもよく、川の水の色は白く濁っていて石ころもその影響で変色してしまっている。地獄の光景を彷佛とさせる殺伐とした風景と悪天候による雲の発生に合わせ、身が持って行かれる程の強風の中をトボトボと登っているとまるで本当に“あの世”へ続く道を歩いているかのようだ。
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しばらくすると木造のこざっぱりとした売店が前方に見えて来る。大涌谷観光センターが経営する『黒玉子茶屋』である。先回にも紹介した大涌谷名物“黒たまご”を売っている。茶屋の前には観光客が群がり、目下大盛況のようであった。
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黒たまごの製造(噴煙地の酸性熱泥に浸けて茹でて後、蒸し釜で蒸らす作業だけだが)はこの茶屋のすぐ隣に湧き出ている熱泥の溜り場(温泉池)にて行なわれている。
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金網のケースに入れられた白い玉子は温泉池(温度80度)に一時間程浸される。この際に温泉に含まれる硫化水素と玉子の殻に含まれる鉄分が結合し硫化鉄となって自然に黒くなる。
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一時間茹でた後、温泉池から出してその隣に設置されている頑丈な鉄の蓋の付いた蒸し釜(釜内温度95~100度)に入れて5分程蒸らすと“名物黒たまご”の出来上がりというわけだ。
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この黒たまご、大挙して押し寄せる観光客がその場で食べたり、お土産として沢山買って行ったりする為に結構大量生産せねばならない事態となっているのだ。観光の目玉だが結構大変なのである。
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麓にある売店にも効率よく大量の黒たまごを搬送、また大量の新鮮なたまごを麓から噴煙地へと供給する必要がある。故に先回も紹介した『黒たまご運搬専用ロープウェイ』が作られているのである。
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このロープウェイはこの『黒玉子茶屋』のすぐ脇から発進、迅速かつすみやかに麓の売店へと大量の黒たまごが搬送可能となっている(笑)
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この大涌谷の噴煙地の『黒玉子茶屋』の周りには多くの観光客がいたが、そのほとんどが中華人民共和国からの観光客だったのも驚きであった。日本人観光客より明らかに人数が多い。伊蔵の周りの観光客は全て中国語を話しカメラ片手にしきりに辺りを撮影しまくっているのであった。
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まさに“日の出の勢い”といっていい中国の急激な経済発展によって富を手にした彼ら中国人民は大挙して世界中の観光スポットに訪れる様になっている。中国四千年の歴史上でも未曾有の経済成長期にこの国は今沸いているのである。彼らの様子を見ていると昔、同じ高度経済成長期を迎えた時期の我々日本人と同じ事をしている・・と思えて仕方がなくて心の中で苦笑いが自然と浮かんでしまう。
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驚愕の大中華人民パワーに押されつつも伊蔵は大涌谷噴煙地を見て回ったのだった。
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噴煙地は冠ヶ岳の中腹の斜面にあり辺り一帯には地の底から湧き出る噴煙が観測出来、箱根山がいまだに活発な火山活動をしている様を気軽に見る事が出来る。またここは結構見晴しが良い場所である。
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この場所からは晴れていれば西側に芦ノ湖、箱根外輪山の向こうに富士山も拝めるはずなのだが今日の箱根山付近は雲が低く垂れ込めていて視界が悪い。おまけに強風が吹き荒れている。綺麗な景色が拝めないのは非常に残念だった。
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伊蔵は噴煙地をグルリと見て回った後、“中国人民観光客”の大軍を掻き分けつつ歩いて登って来た道をまた麓へ向かって歩き始めた。一旦箱根ロープウェイの『大涌谷駅』まで戻り、そこからさらにロープウェイに乗り芦ノ湖の北端の地、湖尻(こじり)にある『桃源台駅』まで進む事にする。気になるのは芦ノ湖を遊覧可能な『海賊船』が運行しているかどうかであった。<つづく>


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プロフィール

伊蔵

Author:伊蔵
伊蔵と申します。
幻の焼酎から名を頂きました。
お酒・一人旅・自転車・麺類好き・歴史・読書・雑学・ネット・路地裏散策・廃道・街道・地図マニア。血液型:B型

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