2017-08

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信州長野・上田の旅/その12・蕎麦屋『かんだた』さんにて(1)

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伊蔵は善光寺参道から早足で権堂商店街の外れにある蕎麦屋『かんだた』さんまで戻って来た。しかしお店はまだ“支度中”の立札が立っていた。伊蔵は先程来た時と同じく、店頭に設置されている木製ベンチに座ってしばらく待っていた。
この蕎麦屋の店名である“かんだた”とはいったい何か。ピンと来る方もいるだろうが実は小説家芥川龍之介の書いた『蜘蛛の糸』という物語の中に登場する地獄に堕ちた罪人の名前である。

◆蜘蛛の糸
“カンダタ”は生前に殺人・放火・盗みなど様々な悪事を働いた為、その報いとして死後地獄におとされていた。“カンダタ”が他の罪人と一緒に地獄の血の池で溺れ苦しむ様子を朝の散歩の途中のお釈迦様は極楽の蓮池から覗き眼鏡を見る様に御覧になっていたのだが、この“カンダタ”についてある事をフト思い出した。

“カンダタ”は生きている時にたったひとつだけ善行をした。一匹の小さな蜘蛛を踏み殺そうとして『小さいながら命あるものだから無闇に殺すのはいくら何でも可哀想だ』と思い、この蜘蛛を助けてやったのだった。この事を思い出したお釈迦様は、

『ええことしたでこりゃ~奴を地獄から助けたらなかんわ』

とお思いになり、池の蓮の葉の上にいた蜘蛛の糸を手に取って地獄の底へと降ろしたのだった。この細い蜘蛛の糸を地獄の“カンダタ”は首尾よく見つけ、早速地獄を脱出すべく極楽へ向かって蜘蛛の糸を手繰って昇って行ったのだが途中で休憩中に今まで昇って来た遥か下の地獄の方を振り返って見た時、飛び上がらんばかりに驚いた。何百、何千もの数限りない罪人どもが自分の後を追って蜘蛛の糸を昇って来ていたのだ。

自分一人でも切れてしまいそうな細い蜘蛛の糸なのにあれほどの人数の重みに耐えられるはずが無いと思った“カンダタ”は思わず叫んでしまう。

『おみゃ~さんら何考えとるでゃ~!この蜘蛛の糸は俺様のもんだでよぉ~!切れてまうでさっさと降りないかんて!降りやぁ~て!』

その途端、今まで何とも無かった蜘蛛の糸が“カンダタ”のぶら下がっている所からプツリと切れた。“カンダタ”も罪人も真っ逆さまに元居た暗黒の地獄へ再び堕ちてしまった。自分だけが助かろうとした“カンダタ”無慈悲な心がそれ相応の罪となり、蜘蛛の糸は切れ彼は地獄に逆戻りとなってしまったのであった。

『ありゃ~もうちょっとだったに残念・・・』

その様子を極楽で眺めていたお釈迦様は悲しそうな顔をしながらも極楽散歩を何事も無かったかのように続けるのであった。というのが短編小説『蜘蛛の糸』の簡単なあらすじである。

その地獄の罪人“カンダタ”の名を冠する蕎麦屋『かんだた』さん。ここで出される蕎麦の麺の細さ(蜘蛛の糸のような)がその由来である事を下調べで伊蔵は掴んでいた。
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また善光寺本堂内には“戒壇めぐり(かいだんめぐり)”といって本堂の下に設けられた真っ暗闇の地下道(約45m)を通って手探りで進み、絶対秘仏の本尊の下にある「極楽の錠前」に触る事が出来れば本尊阿弥陀如来と結ばれた事になり、極楽往生出来るいう。この地下道を巡る事は“あの世”を巡る事と同義でそこへ入る事は「死ぬ」事であり、出て来る時は「生まれ変わる」事とされている。この善光寺がすぐ近辺にある事からもお店の名に相応しいとご主人が付けたのかもしれない。

さて木製ベンチに座って待っていた伊蔵。開店時間が少し過ぎた頃にやっと『かんだた』さんの戸が開き、中から先程顔を合わせた女将さんが現れた。

『お待たせしました。どうぞ中へ。いらっしゃいませ。』

その言葉に促され伊蔵は『かんだた』さんの店内へと足を踏み入れた。入店一番槍達成である(笑)店内は抑えられた照明でしっとりとしつつ静かで落ち着いた雰囲気。二階建てで階段を上がった先にはお座敷があるようだった。
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伊蔵はお店のご主人の話も聞きたかったので1階厨房脇にあるカウンター席の一番端に座った。これもお得意のパターンである(笑)さて『かんだた』さんでは一体どのようなお蕎麦が頂けるのであろうか。<つづく>
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Author:伊蔵
伊蔵と申します。
幻の焼酎から名を頂きました。
お酒・一人旅・自転車・麺類好き・歴史・読書・雑学・ネット・路地裏散策・廃道・街道・地図マニア。血液型:B型

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