2017-08

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季節料理 香味さんへ

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2010年4月24日土曜日の晩の事、伊蔵は名古屋市内の池下にあるtakeさんの新しい職場である『季節料理 香味』さんデビューを果たした。実はこの日は早めに仕事が終わった為、顔を出すなら今日しかないという事で出掛けてみる事にしたのであった。出掛けるにあたりまずはtakeさんに電話をかけてみた。彼はちょうど寝起きだったらしく眠そうに電話口に出た(笑)本日来店したい旨を伝えると、

『会社まで迎えにいったろか?こっちもちょうど出勤時間だで』

と言うので(笑)一緒にお店まで行く事にした。電話を切った後、程なく彼は伊蔵の会社前までやって来てくれた。彼に会うのはしばらく振り。彼は前の店の整理はすでに終えていたものの新居への引越作業がまだ残っている。今の自宅は伊蔵の会社と同じ区内なのでやって来るのも早かった。takeさんの新しい職場である『季節料理 香味』さんは千種区池下にある。
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さて我々は千種区池下の『季節料理 香味』さんに到着。
周りは閑静な住宅街しかもかなり広大な敷地を持つ豪邸が随分多い。市営地下鉄池下駅にも近く交通の便も良い。駅近くには大きな居酒屋チェーン店がいくつも並んでいて人通りや交通量も多いが『季節料理 香味』さんのお店の場所はそうした大通りからちょっと奥に入った静かな場所にあった。
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さっそく店内へ入ってみる。勿論伊蔵お得意の“入店一番槍”である。店内はとてもシックでモダンな大人な雰囲気漂う造りで和食中心の料理を出すお店には一見すると見えない。takeさんの話によれば前のテナントはお寿司屋さんだったらしい。
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右手にカウンターと厨房、左手にはテーブル席がいくつかとさらに店内一番最奥部にはお座敷があり、壁に半円形に設えられた窓からは中庭を望む事が出来るようになっていた。
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静かな環境で美味しい和食を食べたいお客さんにとってはとても良い環境のお店という印象を受けた。カウンターの向こう側の厨房にはすでにお店の大将であるtsunchoさんが詰めていた。
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実はこのtsunchoさんはtakeさんの義理の弟さん。しかもtakeさんとは料理修業時代をともに過ごしたという方である。6年前からこの池下町にお店を構えているそうだ。伊蔵はtsunchoさんとは初対面ではなく、随分前にtakeさんの前のお店で一度だけ顔を合わせた事があった。とは言っても随分前の事なのでtsunchoさんは伊蔵の事は覚えていなかった・・・(笑)

『初めまして伊蔵といいます。今夜はお世話になります!』

月並みな挨拶をtsunchoさんに申し上げると笑顔で迎えてくれた。早速どこへ座ろうか迷っていたらtakeさんがカウンターの一番端の席を進めてくれたのでそこへ腰を落ち着けた。
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この席の前にはtakeさん曰く、通称“池下シーワールド”なる小さいながらも生け簀(いけす)があり、その日に仕入れた旬の魚介類がいくつか入っている。
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今夜生け簀の中に入っていたのは赤海鼠、メバル、アナゴ、カサゴ、栄螺、巨大なタイラギ(平べったい二枚貝)、伊勢海老等が入っていた。う~む・・スゴいぞ。

早速ヱビスビールをグラスで頂き喉を潤す。う~・・・旨い。フト気がつくとカウンターの向こう側からtsunchoさんとtakeさんのほっそ~い視線が・・・(笑)。

『伊蔵くん、あんただけビール飲んでえ~ねぇ・・・』

相変わらずやなtakeさん(苦笑)。しかも彼がいうにはこの店の大将tsunchoさんも酒が入らないと仕事の動きが悪いらしい・・・。この点、義理の兄弟とはいえよく似ているなぁ・・と思わずにはいられなかった。彼らにとっては酒はガソリンと同じなのであった。というわけでヱビスビールを今度は瓶で貰ってtsunchoさんとtakeさんのグラスにもコポコポとビールを注いで差し上げ三人で改めての乾杯!。

『伊蔵くん、今夜は何食べや~すね??』

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う~んそ~だなぁ。カウンターに立て掛けられたホワイトボードに本日オススメの一品料理がリストアップされているのを眺めつつ考えた。伊蔵の日常の食生活で絶対的に不足しているのは野菜系であり、とても家庭料理の味に飢えているのを自覚している。その事を伝えつつお品書きからふたつみっつを見繕って後はお任せする事にした。

まずはさっきも紹介した生け簀“池下シーワールド”内から新鮮な赤海鼠を取り出してさばいて貰うことに。酒が身体に入ったtsunchoさんの仕事は素早かった(笑)たちまち赤海鼠はさばかれて伊蔵の目の前へ。
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ひゃ~これは綺麗だ。大振りなお皿に赤海鼠の赤い身が映えて実に鮮やか。美味しそうだ。早速頂きます!お箸で海鼠を一切れ摘み、ポン酢に付けて口の中へ。う~んこりゃ美味しい。海鼠特有のコリコリとしたちょうど良い歯ごたえに加えて、赤海鼠自体にほんのり甘さのようなものが感じられる。ポン酢に付けることによってさらにその甘さが引き立つような印象を受けた。一気に食べてしまうのは勿体無い。チビチビとゆっくり片づけていこう。
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次に頂いたのが『メバルの煮付け』。takeさんが君は白身魚が好きだからと勧めてくれた一品だ。鮮やかな藍色の丸皿にメバルとその茶色い煮汁の色合いの対比がとても美しい。煮汁がメバルの身に十分染み込んでいる感じでホクホクと柔らかそうだ。早速いただきます!う~むこれはタマラン・・・。濃厚な甘辛い煮汁が淡泊な味の白い身によく合う。素材の美味しさもさる事ながら手間暇掛かったこういう煮物料理はさすがに美味しい。思わず舌鼓も飛び出してしまう。久しぶりにこういう美味しい煮物を食べた。

お店の開店時間の午後5時から大分時間が経ったがお客は伊蔵一人のみ。貸し切りのようだ(笑)。気兼ね無く静かに料理を楽しめる。tsunchoさん、takeさんも程良くお酒が回って来たようで饒舌になってきた。tsunchoさんの料理や仕入れについての話やtakeさんとの昔の修業時代の話はとても面白かった。料理についてのポリシーとスタイルは同じ場所で修行をしていた為かやはりtakeさんとの共通点が多く、熱っぽく楽しい話を聞かせていただいた。

またこの『季節料理 香味』さんはお昼の営業もしており、リーズナブルな価格でありながら贅沢な食材を使ったランチも楽しめる。お昼のお客さんはオバサマ関係が結構多いようだ。
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次に出して頂いたのは野菜不足の伊蔵には嬉しい『焼き筍と空豆の網焼き』。いやぁ~こりゃ贅沢だ。しかし実に盛り方が綺麗。使用する器や盛り方ひとつで料理の見た目の美味しさへの想像ってのが二倍にも三倍にも膨らむってホントだな。目で見てその料理の美味しさを想像する楽しみがこのお店では味わう事が出来る。ではいただきます!

まずは大きな鞘を手で開いて大粒の空豆を。焼きたてなので鞘を開く際は火傷に注意しなければならない。鞘の中からは綺麗な薄黄緑色をしたお豆さんが顔を出した。これをひとつまみして小皿の塩につけて食べてみた。う~これは何と表現したらいいのか・・咀嚼すると大ぶりの空豆だけあって蒸かしたジャガイモのような食感とともに豆の風味が優しくしかし濃厚に鼻腔を貫くような感じだ。感服しました。一方の焼き筍もその旨さに脱帽。とても柔らかくてそれでいながらしっかりとした歯ごたえがある。またその風味は心地良い竹の香りに少しばかりのほろ苦さが加わってこれまた美味しいのだ。これは今夜の料理の中でも一番かもしれない。

徐々にお腹の具合が良くなって来た伊蔵は麦焼酎『神の河(かんのこ)』に乗り換える事に。ボトルとともに氷が入ったアイスペールをtakeさんが用意してくれた。そしてなぜかグラスは三つ・・・。あんたらぁも飲むんかいっ!(笑)。あたりみゃ~だがね!飲ませんと働かんし動かんぞ!と突っ込まれつつ今夜はアキラ氏が不在の為、仕方なく伊蔵が氷係兼注ぎ係に任ぜられてしまった。そして改めて三人で乾杯。この時間あたりからお店にお客さんがちらほら現れ始めた。
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焼酎に切り替えてから『牛肉と牛蒡のキンピラ』をおつまみに頂いた。これも十分に味が染み込んでいて美味しかった。
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これは『本マグロのお刺身』。この見事な身の色合いはどうだ。トロッっとしていて風味も抜群。美味しゅうございました。
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お次はこれまた身体に優しそうな『ほうれん草の白和え』。使っているお豆腐の豆の風味が濃く、これがまたほうれん草によく合う。
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他のお客さんが注文しているのを耳の端で聞いて一緒出して貰ったのがこの『蟹入りのだし巻き』。だし巻きは伊蔵の大好物である。カウンター内でtsunchoさんとtakeさんの義理の兄弟二人組は蟹の脚から丁寧に身を取り出して玉子と合わせていた。彼ら二人の華麗なるチームワークとコンビネーションをカウンター越しにトロン・・とほろ酔い気分で眺めていた伊蔵は何だかとても安心した。

昨年は大災難といっていい程の事態に見舞われたtakeさんだった。今後の身の振り方について彼も真剣に考えたに違いない。自分のお店を手放すって事は随分勇気のいる事だったと思う。伊蔵もかなり心配していたが、今の彼の生き生きとした姿はどうだ。自分の仕事に昔と変わらず打ち込んでいるではないか。それも気心の知れた義理の弟とともに・・・。彼らはこれからも良いお客さんに恵まれつつきっとこのお店を盛り立てて行くことだろう。

人生の岐路ってのは誰にでも一生の内に何度かあるものだが、困ったというその時にやっぱり頼りになるのは家族であったり、友人であったりする。何年か前の伊蔵もそうだった。takeさんには随分助けて貰ったし、お店で知り合った仲間達にも励まされた。これは実に有り難いことだ。
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そんな感慨に耽っている内に『蟹入りのだし巻き』が完成!いやはやこれは旨そうだ。黄金色の肉厚だし巻きの表面に見え隠れする蟹の赤い身。その表面全体からはホカホカと湯気が立ち上っているのであった。箸先で適当な厚さに両断し、ヒンヤリおろしをちょいと乗っけて口へと運ぶ・・ハフッハフ・・。だし巻きって何でこんなに旨いのかねぇ(笑)。たまりませぬ!蟹玉風のその甘さと旨さに無条件降伏ですわ。美味しいだし巻きを摘みながら焼酎を飲もう。ぬぬぬ!あれ!?
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全然ボトルに入っとら~せんがや・・・まぁ~一杯、まぁ~一杯と大概ににせんといかんよtsunchoさん!takeさん!そこで二人は、

『やめれ~せん・・・』

と宮地佑紀生の台詞のようには返事をしなかったが苦笑していた。せっかくボトルに今日の日付と伊蔵とマジックで書いて貰ったが空き瓶になってしまった。三人ともオンザロックで飲むのであっと言う間に無くなるのは仕方がない。

『もっと飲んでみや~ち・・・』

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と代わりに出して貰ったのは土佐の地酒『酔鯨(すいげい)』。お~し思いっきり飲んじゃるきに!と伊蔵はたちまち酒好きな幕末の土佐藩主山内容堂と化し、変な土佐弁で対抗(笑)。
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続いて『鶏ももの唐揚げ』じゃき!カラッっとコロコロに揚げた鶏もも肉はとてもジューシーで美味しく土佐の酒にも良く合った。揚げたてはやはり旨い。美味しいものを食べていると自然、酒も進んでしまう。偶然カウンターで一緒になったオバサマとも酔いに任せて気軽に話が出来てしまう(さぞご迷惑だった事でしょう・笑)。
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そして今夜の〆。温かい『河豚茶漬け』。したたかに酔った身体にこれほど優しいものはない。しかも河豚入りなんてとても贅沢だ(笑)。茶漬けの優しい温かさに思わずほっと溜め息が出る。今夜は久しぶりに美味しいお料理の数々を食べ、そして楽しいひとときを過ごさせて頂いた。

『伊蔵くん、そろそろ引き上げるぞい!』

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おお!もうそんな時間か。勤務時間が終わったtakeさんは来た時と同じように一緒に帰ってくれるという。サーセン・・・。一方のtsunchoさんはまだお客さんが残っている為、引き続き勤務。お疲れ様です!伊蔵は今夜のご馳走のお礼を申し上げtakeさんと帰路についた。酔って火照った身体に夜風が冷たくて気持ちがいい。今夜は美味しいものを沢山堪能させていただきました。

tsunchoさんそしてtakeさんご馳走様でした!
また仲間を誘って来店したいと思います。その際はヨロシクです!

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◆『季節料理 香味』
・住所/愛知県名古屋市千種区池下町2-41 嵯峨マンション1階
・電話番号/052-751-1312
・営業時間 昼の部/AM11:00~PM2:00 
・営業時間 夜の部/PM5:00~PM11:00(O.S PM10:30)
・定休日/日曜日
・お店のブログ/http://tsuncho0428.blog107.fc2.com/


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伊蔵

Author:伊蔵
伊蔵と申します。
幻の焼酎から名を頂きました。
お酒・一人旅・自転車・麺類好き・歴史・読書・雑学・ネット・路地裏散策・廃道・街道・地図マニア。血液型:B型

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