2017-10

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三千盛・秋の感謝祭/その2・幸兵衛窯見学

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『市之倉さかづき美術館』から目指す『幸兵衛窯』までは徒歩5分程。山の斜面にその窯元はある。
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この『幸兵衛窯』は1804年に初代・加藤幸兵衛により開窯されたもので市之倉町で最も古い歴史を誇る。また江戸城本丸、西御丸へ染付食器を納める御用窯の指定も受けていた由緒ある窯元である。
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五代幸兵衛は中国陶磁をはじめ幅広い技法を駆使し昭和48年には岐阜県重要無形文化財保持者の認定を受けるなど、幸兵衛窯の中興の祖といわれる。その息子である六代加藤卓男氏は、古代ペルシャの陶器の独特な造形と斬新な色彩に魅せられ、西アジアでの発掘と研究に没頭、ラスター彩の復元、青釉、三彩、ペルシャ色絵など陶磁器の世界で異民族文化と日本文化の融合に見事に成功した。また宮内庁正倉院からの委嘱を受けて正倉院三彩の復元制作も行い納入している。
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これらの功績によって加藤卓男氏は平成7年に国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受けた(2005年没)当代は七代加藤幸兵衛氏が幸兵衛窯を引き継いでいる。その息子さんである加藤亮太郎氏も若いながら次々と作品を発表、個展やグループ展等を行っている。
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なだらかな坂道を登った場所に『幸兵衛窯』の施設はあった。人間国宝加藤卓男氏の作品を展示する真新しい本館と福井県の大野市から移築したという築200年を経た建物内には古陶磁資料館、工芸館、サロン壷中堂(喫茶室)などがある。さすがに市之倉の町の中で一番大きな窯だけあり立派な施設群であった。
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まず我々は本館へと向かった。中へ入ると物静かな女の方が各施設の紹介、展示品についての概略をこれまた物静かにかつ丁寧に説明してくれた。彼女もこの幸兵衛窯で陶器作りをしている方なのだろうか?と頭の片隅にそういった考えが浮かび、彼女ならどんな作品を作るのであろうか・・・などと妄想がどんどん膨らんでしまうのだった。

人間国宝・加藤卓男氏は古代ペルシャの陶器に魅せられその研究に夢中になったという事は先に書いた。その夢中、没頭ぶりが分かる資料の数々もこの本館には展示されている。中でも中東の古代の窯跡、遺跡などを見て回った際の記録ノートは素晴らしい。万年筆で書かれているが文章だけでなく陶磁器のスケッチも非常に細かく描かれてあり、その研究熱心さぶりがひしひしと伝わってくる。古代ペルシャ陶器の何が彼をここまで引きつけたんだろうか?人間が生活するにおいて物を入れる器という存在は無くてはならない。その歴史は非常に古く人類文化発祥の時代まで遡ることが出来る。四大文明の時代、それぞれの文化圏ですでに建築用材として日干し煉瓦やタイル、多くの壷などが造られていた。

時代が下って通商目的で発達したシルクロードによって東西の文化、文物の流通が容易となると各文化圏独自の陶磁器の技法や色彩やデザインが影響し融合する事になり、陶磁器文化は一層華やかなものになった。日本の陶磁器は中国大陸、朝鮮半島を経て伝わっただけにその文化的影響が色濃く出ているが、奈良の正倉院御物の中には遠くペルシャの影響を受けている物もあったりする。

シルクロードの終着点ともいえる極東の島国日本の代々続く陶芸家の家に生まれ落ちた加藤卓男氏はある時、その陶磁器文化の西端の文化がどういうものなのか?という事にフト興味を抱いたのかもしれない。ペルシャの遺跡で日本の陶磁器とはまた違った繊細な絵付けや意匠に出会った彼の心の中に何かが弾けた。そこで極東の陶磁器文化と中東の陶磁器文化の融合というテーマを思いついたのかもしれない。そういった点では古い伝統をばかりを重んじるであろう日本の陶磁器文化の世界の中で加藤卓男氏の東西文化融合という考え方というのは非常に柔軟で壮大な構想であったという事がいえるかもしれない。そんな彼の代表作の展示物の数々を見ているとやはりどの作品もエキゾチックな雰囲気が出ているのであった。この幸兵衛窯本館での展示は本当に素晴らしかった。
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次に併設の古陶磁資料館へ。先にも書いた築200年を経ている古民家を利用した展示館である。この建物は非常に贅沢な木材が使われており重厚でなかなか素晴らしいものだ。建築という職業に携わっている我々メンバーのひとりであるエスパー氏もこの古民家には興味津々のようであった(笑)。古民家の中はかなり寒かったが展示物の数々には目を見張るものがあった。
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古陶磁資料館、工芸館を一通り回って古民家の裏手へ足を運んでみる事に。煉瓦造りの煙突と紅葉が相まって美しい。
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そこにはのぼり窯というのだろうか桃山様式の半地上式穴窯が山の斜面に築かれていた。
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現在の工房は別の場所にあるようだが、今でも年に一、二度はこの窯で焼き物が作られているらしい。是非実際にこの穴窯が稼働している様を見てみたいものだ。
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たまたま『市之倉さかづき美術館』の見学のついでに訪れた『幸兵衛窯』であったが陶器にさほど詳しくない方でも十分に楽しめる施設であった。また自分好みの陶器を探してみるのも面白いだろう。<つづく>

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◆幸兵衛窯(こうべいがま)
・住所:岐阜県多治見市市之倉町4-124
・電話:0572-22-3821
・見学時間
 平日/第1・3土曜日午前9時~午後5時
 日祝日/第2・4土曜日午前10時~午後5時
 年末年始、お盆、展示入替期間のみ休館
・入場料:一般300円、大高生150円
・ホームページ:http://www.koubei-gama.co.jp/
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伊蔵と申します。
幻の焼酎から名を頂きました。
お酒・一人旅・自転車・麺類好き・歴史・読書・雑学・ネット・路地裏散策・廃道・街道・地図マニア。血液型:B型

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